フジゲンのJBにBirdcageオリジナル、ハイブリッドピックアップを登載させていただくことになりました。
ハイブリッド・ピックアップは、60年代風JBサウンドと70年代風JBサウンドをスイッチでセレクトできるカスタム・ピックアップです。
フォームバー皮膜線とエナメル皮膜線を2層に巻き上げてハンドメイドしています。
Birdcage ハイブリッド・JBピックアップについてはこちらから。
スイッチを追加するなど、配線全体をやりなおします。 まずは分解していきましょう。
ふたつのピックアップをシリーズ配線かパラレル配線か切り替えられるスイッチが付いています。 これ以外にネック側ボリュームにもスイッチポットを追加して、ピックアップの出力を’60sか’70sか切り替えられるようにします。
(このシリーズorパラレルのスイッチ配線について後日追加記事を書きました。こちらから。)
もとから付いてたピックアップはネック側が7kΩくらい、ブリッジ側が8kΩくらいです。 新しく付けるピックアップは’70sではこれより少しおとなしめ、’60sではもう少しファットになります。
量産ピックアップならではの工夫が見られます。樹脂製のボビンですが、プラスティックのバリが出ない方を内側に組んであって、コイルを巻くときに引っかかるなどのトラブルがないようにしてあります。
巻きはじめが断線トラブルの原因になることがあるのですが、そうなりにくいように巻きはじめを逃がして巻いておいて、最後に巻きはじめの端末処理をしているようです。 そのための黒い仮止めテープです。
ポットのスペーサー・ワッシャーにも驚かされました。8ミリ軸のポットにジャック用の大きめのナットが付いています。 これはねじ山が噛んでいるのではなく、ポットを取り付けたときの高さ調整です。
これを8ミリのナットですると、大量のポットに手でグルグルとナットを回してつけることになります。その手間を省いてしかも均質に、かつ、なかなかなハイクオリティを維持するアイデアだと思います。
国産ギター工場の「余計な手間を省きつつ、その分、低コストで高品質に仕上げる」姿勢がこんなところに。 さすがですね。
スイッチポットを取り付けるには少し深さが足りません。ルーティングが必要です。
4ミリほど掘り下げました。
これでバッチリ取り付けられそうです。
コントロールパネルのアッセンブリーを作っていて気になったのですが、金型故障で缶ケースが省略されたあとの卵焼き型国産オイルコンって方向性はなくなったのでしょうか。
缶ケースに入っていたときはケースに直接蝋付けされているほうをグラウンドに持っていくことでシールド効果が得られました。
手持ちを見てみたところヒグチのオイルコンはマルコンの下請け時代から一貫して文字の書き終わりがアウトサイドです。 一方このビタミンQは逆になっていますね。 もしかしたら製産している工場ではなく、ブランド側スタッフがあとからシールを貼っているとかあるかもしれませんね。
あまり気にしすぎない方が良さそうですね。初期JBピックアップのコイルのように巻き終わりをグラウンド側にするみたいなシールド方式があったりするかもしれないので、一応文字の通りにつけてみましょう。
アッセンブリーはこんな感じになりました。
なぜこの段階で写真を撮ったかというと、ピックアップからの線をつなぐと肉眼ではきれいに整理されて見えても、写真でみると複雑に絡まっているように見えることがあるからです。