お客さんからもらったフライヤーです。
コード部分のアップ↓ これ読み取れるんでしょうか笑 興味のある方はご覧下さい。
ドライバーの周りに張ってあるウレタンリングが加水分解でぼろぼろになってきていたのでサウンドハウスで2個買いました。
貼り付けて貼り付けて、真ん中を剥がす感じみたいです。
「CD900STは時代遅れ」とか言われますが、用途が特殊な業者ホンなだけでまったくもって現役選手だと思います。
私はこれで主に、オペアンプの半導体ノイズ、プリアンプ基板のポップアップノイズ、ボリュームのガリ、導電塗料塗布前後の外来ノイズなどを聞いています。
音源の編集とかリスニングには他に良い物があると思いますが、お医者さんの聴診器みたいなヘッドホンとしては、まだまだこれが安心して使えます。 なにせ部品が簡単に手に入りますから。
急に音が出なくなったというスターリンです。
まずパッと見てバッテリーボックスの+極が錆びています。 おそらく液漏れしたのだと思います。
バッテリーボックスを外すにはジャックの配線を外す必要があります。 その配線が巻き付いていて動かせないので、プリアンプ基板を外します。
気になったのがこの針金です。 裏蓋をアース電位につなぐためにバネみたいにしてある裸線ですが、これがどこかホットに接触したら音が出なくなります。
基板の下に入っていたので、この線がプリアンプにショートして電池が過熱→液漏れが起こった可能性もあります。
裏蓋の絶縁テープはレバースイッチとアルミシートがショートしないようにするためのものですね。
プリアンプの入力部分です。 ピックアップから出ている4芯の線がつながれています。
プリアンプの出力部分です↓ 左側の白が出力線。 中央の赤がバッテリーの9V。 右側の黒が基板のアース線です。
ジャックの赤い線が見えました。 ジャックを抜くと9Vの線が基板から分離されるようになっています。
この2カ所です↓ 中央がバッテリーに、下が基板につながっているようです。
全てのアース線がジャックにつながっています。
バッテリースナップをジャックにつないでみたら一瞬音が出ました。 やはり主な原因はバッテリーの液漏れによるバッテリーボックスの劣化です。
省電力は0.7mAで安定しています。 基板はおそらく無事なのだと思います。
いちばん外側のツマミを回すと音が出ました。 何度か回していると出たり出なかったり。 そのうちずっと音が出っぱなしになりました。 おそらく電池ボックスに近いのでガスを浴びて中が汚れているのではないでしょうか?
基板を取り外しました。
赤いまるのところが汚れています↓
中央の輪っかの部分も酸化しています↓
この基板がどうなっているのか詳しくは知りませんが、おそらくBAXと呼ばれるイコライザーです。 このツマミはBASSツマミではないでしょうか。 BAXのBASSって唯一コンデンサを介さずに反転入力端子(ー)に入るのですが、非反転入力端子(+)がBIAS電位(たいていは乾電池の9Vの半分、4.5V)につながっていて、イマジナリーショートで反転入力にも4.5Vが自動的に来ているはずです。
ここが接触不良になると出力の直流電位の情報が帰還されなくなって、入力の4.5Vとの比較ができなくなるせいかBAXが正常に動かなくなります。 これたぶんBAXあるあるなのではないでしょうか。
液漏れのガスのせいなのか、経年変化によるものかははっきり分かりません。 オペアンプの出力電位がふらふらとドリフトすると、バランスを取るためにこの接点にわずかな直流が流れるのだと思うのですが、接点のアーク放電とかで空気中から炭素を引きよせてたまったり、窒素を引きよせて硝酸ができたりするのではないでしょうか。 詳しいことは難しくて分かりません。
きれいに掃除しました。
元に戻しました↓
気になっていた裏蓋のアース線は・・・
銅箔テープに変えました。 裏蓋のネジを締めればアース電位につながります。
これでバッテリーボックスを新品のBB-04に交換すればおそらく正常に動くと思います。
配線作業を進めます。 トーンの配線が外してありましたが、他の線に接触するとショートして音が出なくなったりしそうなので絶縁チューブを被せておきます。
交換するリアピックアップの位相が、フロント側と同じ位相かどうかを調べました。 大丈夫そうです。
ピックアップが通る穴が狭いので手作業で上下は片側0.5、左右は片側1.0近く拡げました。 ピックアップは試してみてイマイチだったら戻すらしいので、なるべく拡げすぎないようにしています。
ボリュームを新しいものに交換してスイッチ周りの配線をしていきます。 4芯で出ているハムバッカーの出力を、熱収縮チューブでまとめておきました。
ボリュームの終端抵抗は1Ωと低いです。 歪ませるとボリュームを絞っても音が漏れるボリュームは、ここが数十Ωくらいあります。 これなら交換した価値がありそうです。
ボディ側の線をつないでいきます。 アース周りが1本と、ジャックに向かう出力線が2本です。
配線が完了しました。
弦を張っていきましょう。 古い弦は調整中に1弦が切れたので、ギターと一緒にお預かりした新しい弦を張っておきます。
リアピックアップの音量が結構大きいので、フロントとの音量バランスを考えて低めにしておきます。 もしかしたら音量差があった方が良いのかもしれませんが、そういう使い方をする場合は上げて使ってもらいましょう。
ネック調整、弦高調整、オクターブチューニング、ジャックの清掃などをしました。
これで問題ないように思います。