そうなってくると怪しいのはピエゾです。 サドルを外してみました。
このギターはアジャスタブルサドルなので、サドルが板バネで宙に浮いているんですね。 ピエゾピックアップは生きているのでこれが原因です。 今までたまたま振動を拾っていたのが、何かのきっかけで拾わなくなったのでしょう。
構造上板バネの上にピエゾを回すことができないので板バネの下側のRに沿わせるように下から発泡ウレタン素材で押しつけてみます。 もとのサドルの高さを測って厚みを決めました。
このピックアップの設計思想上、高域はマイクが担当していて、ピエゾは低域を出せば良いと言うことになります。硬い素材でガッチリ固定した方が高域はでますが今回はこれで良さそうです。 バランサーをいじっていくととても良い音質にたどり着くことができました。
箱が小さいアコギなのですが、このピックアップ&マイクシステムは低音から高音までレンジが広くて透明感があります。 むしろサイズにゆとりがあって上品なギターを弾いているような気になってきますね。
エンドピンジャックが緩んでいたので調べたら、本体をもう少し箱の内側に引いてあげた方が外側から締めるロックナットの効きが良くなるようです。 一度中から引っ張り出して内側のロックナットの位置を調整します。
気になっていたブッシュ浮きの修正です。 隙間を低粘度の接着剤で埋めて固定しました。 ペグのギアが変にすり減らないようにとか、あたりを良くしてペグが硬くならないようにこういう修理をするのですが、弾いたお客さまの中には「ヘッドの振動が良くなった気がする」と仰る方がいますね。 ついでにしておいた方が良い修理ですね。
と言うわけで完成しました。
後日お客さまからは「PAとの相性が抜群に良くなった」とお褒め頂きました。 ペグやサドルも手を加えたので箱に対する音の伝わり方も良くなったそうです。 たくさん弾いてあげて欲しいですね。