ラムトリック社製作のSonicというブランドのJBタイプです。 私がまだラムトリックカンパニーで働いていた頃に設計したBonheur(ボヌール)というプリアンプが登載されています。
ボヌールはBirdcageオリジナルプリアンプBCPシリーズの元になっています。 文化放送の電波が強い川口で製作したボヌールは外来ノイズにめっぽう強い一方で、自分で発する半導体ノイズがやや多めな定数になっています。 それくらいしないとベースアンプから文化放送の音声がでてしまったからです。
東京都北区に引っ越してきてから作ったBCPシリーズは「川口の環境が異常なだけで、なにもこんなにラジオ電波に強い構造である必要はないのでは?」と思い直したので、定数を見直して「サー」という半導体ノイズをなるべく減らしました。 その結果、部品の配置を変更することになって基板は全く新しいものになりました。
このベースは、ライブ前に電池を交換したらプリアンプを通した音が出なくなったということでした。 結局はバッテリーボックスから出ている線が断線しただけだったのでBB-04の交換ですぐ直りました。
ただ今回、他にも想定された故障原因がありまして、それがBCPの製作技法に新しいアイデアをもたらしてくれました。
お問い合わせ頂いたときにお客さまが「電池を一瞬、プラスマイナス逆に入れたからかもしれない」とおっしゃったのです。
電池を逆に入れた場合、内部の回路を守るために保護ダイオードに電池からの電流がバイパスされるようになっています。 そこで考えられたのは
1 その一瞬で電池が空になるほどの電流がバイパスされた。
2 保護ダイオードが電池からの電流に耐えられずショート方向に壊れてしまった。
の2パターンでした。
問題は2の場合です。 以前修理した楽器に登載されていたアギュラーのプリアンプにも同様に、保護部品が原因と思われる故障があったのですが、内蔵プリアンプはモールドされているため、結局その保護部品の交換修理ができないことになってしまいました(OBP-2が壊れたベースのブログ記事。記事の中ではデカップリングコンデンサにショートモードで壊れがちなタンタルを使ったのではないかと予想していますが、電池を逆につないで保護ダイオードがショートモードで破損した可能性もあることに後あと気が付きました。)。
BCPも同様に、保護ダイオードが壊れている場合は部品の交換が必要ですが、今までの組み立て方法では、この部品の交換が難しいのです。 これから作るBCPは保護部品を外に出して修理できるように改良しようと思います。
この黒い部品が保護用に入れてあるダイオードです。 こうしておけば交換が可能ですね。 これで塗装も完成させて、良さそうなら仕様を変更しましょう。