赤いギターにリフィニッシュされる前のスペシャルです。 レギュラーラインのスペシャルはピックアップが上げ下げできるように作られていますが、「そこにクッション性があるせいで音が違う気がするので埋めたい」ということです。 きれいに埋め戻すのには手間もお金もかかりますので、それっぽいブロックを簡易的に作ることになりました。

押すとフカフカしますよね。

メイン機として弾いておられる2001年製のヒスコレのスペシャルです。 これを計測してブロックの高さなどを考えることになりました。

リア。

フロント。

弦を張った状態で弦とカバーの上面やポールピースの距離を測りました。

で、分解してみたら・・・。バネが出てきてしまいました。 このギターは以前もお預かりしているのですが、バネが入っているようです。 ではブロックで固定するのは何か違うかも知れませんね。

それはそうと、P-90についても調べさせてもらうことになりました。 Tokaiのスペシャルに載せるために、みんな大好きな2001年製ヒスコレのスペシャルに登載されているP-90に近いものを作るというテーマもあって、改めてピックアップも見せてもらいます。
先日のP-90計測会では、メーカーごとにボビンの幅が違うことが分かりました。 うちで仕入れたボビンと幅がそっくりです。 これはラッキーですね。

P-90のマグネットは内側に同じ磁極を向けるのでしっかり止めておかないと両側へ分かれてしまいます。 そのためブラス製ベースプレートを真ん中で折り曲げてあるようです。 そのせいでボビンが変形していますが、変形していない部分をノギスで測ると全く同じです。

続いてワックスポッティングについてです。 作ってみて分かったのですが、P-90タイプはパーツも多く裏から叩くとカンカン言いがちですし、コイルの中央が膨らんでポンポン言いがちなので、本家もガッチリワックスで固定してあります。 ハウらずにフィードバック奏法ができるわけですね。

コイルはフォームバー皮膜線ですね。

私が試作したときと同じで、巻き始めホットにすることで、コイルの外周を利用してシールド性能を上げているようです。 白がアースにつながっています。

断線しそうで怖いのですぐに戻しておきました。 真冬にも一度計測したのですが、今の室温での直流抵抗値やインダクタンスも参考になります。

フォームバー皮膜線で試作をやり直さなくてはいけないですし、ヒスコレの方にバネを入れていたなら、レギュラーラインの方にブロックスペーサーを作るべきかも振り出しに戻ったので、チェックしたらチェックしただけ謎が深まってしまいました。
みんな大好きな青いスペシャルに載っているというピックアップはやたら低音が出る気がしましたが、ボビンの幅もワイヤの種類も巻きも磁力も全部違っているのが原因のようです。 あれはあれで使い道によっては良いんですけど。
ギブソンとTokaiの両方を持っているお客さんに頼まれた、持ち替えたときに違和感が少ないピックアップを作ろう思います。