オイルコンデンサを測ってみた【スペシャル(20240921お預かり-1)の部品交換-7】

SonicのOC-223(左)とScud CR-022OIL(右)です。 書いてある表示は全く同じですけれど、製作しているヒグチさんとしては同じものという認識なのでしょうか。 右の方が平べったいです。

HGC.(ヒグチ)、DUシリーズ、630V耐圧、0.022μF、許容誤差20%、おそらくロット番号、という並びになっています。

Sonic OC-223とScud CR-022OIL

同じくScudのビタミンQ表記のものも並べてみました。 これも形が違います。

Sonic OC-223とScud CR-022VQ

全部計測してみたのですが、どれも0.020~0.022μF。 SonicのOC-223は誤差の小さいものだけをパッケージした商品なので容量が正確です。

ESR(等価直列抵抗)は31~45Ωくらい、ESL(等価直列インダクタンス)は1kHzで1170~1252mHと出てきます。 1H? 私が測り方を間違えている可能性が高いですね・・・ただそうだとしても全部同じくらいの値で区別が付きません・・・。

これ↓と特性が似ていて困りました。 ただこちらはリードが磁石にくっつくという違いがありました。

フィルムコン

一緒に測ったSHIZUKIの卵焼き↓はESRもESLもほぼないくらいすごく小さい値がでます。 このモデルはリードが磁石にくっつきましたけれどスピーカーネットワークにに使われているのを見かけます。 磁性体リードでもコイル成分がほぼ計測されないのならそれでいいですよね。 回路図通りになる純粋なコンデンサです。

Sizukiのたまごやき

ちなみにオイルコンデンサは経年変化で1.5倍くらい容量が増えていることがあるので、それに関しては当たり前ですがはっきりと音の違いになって表れます。 ESRが大きいということはトーンポットを絞りきれないことと同じなので、これも絞ったときの音に影響があるはずです。

コンデンサ成分以外の混じりけがあるのがオイルコンの面白さなのでしょう。 ピュアオーディオでは問題になるのかも知れませんが、一部の真空管オーディオを含めて「自分だけの個性的な楽器を作る」という楽しみには欠かせないスパイスということになりそうです。

ちなみに配線はこんな感じになりました↓

配線した


夏休みの自由研究 ~ヘッドホンに穴をあけてみる~

3,500円で買えるマランツのスタジオモニターヘッドホンに穴をあけて、どんな風に音が変わるのかを体感してみようという自由研究です。

このヘッドホン自体はかなり低音が強めで高音が遠く感じます。 私が持っているSONYのエクストラバスシリーズMDR-XB950と比べても同じくらい低音が出ている気がします。 後者のイヤーパッドがへたっているせいもあるかも知れませんが。

マランツのモニターヘッドホンMPH-1

中央の黒い部分の穴は共鳴器らしいです。 低音が出がちな密閉型ヘッドホンから高音を産み出すために穴があいているようです。 直径の違う穴を並べて、いくつかの周波数にピークを分散させているのかも知れません。 白い不織布は抵抗になっています。 ドライバーの背面から出る逆相の低音を表側に回して低音が出すぎないように抑えているようです。

前面レジスター

ドライバーの中央付近には背面の空気抜き穴が4つ空いています。 周りの不織布には穴があいていません。 CD900STはここにふたつ穴があいています。 本体の背面は完全に密閉されています。 吸音材も入っていません。 背面側に穴をあけると超低域までフラットに出す性能が減る代わりに、音程感のあるやや腰高なローがブーストされる傾向があるようです。

ドライバーの背面

ドライバーの不織布にひとつ穴をあけてみました。 ドライバーが自由に動くようになるのか、高音が少し透き通ったように聞こえます。

裏側に穴をあけた

おそらく接着剤で詰まっていて背面から逆相の低音が出てきていないのではないかと思われるレジスターに2カ所穴をあけました。 低音が減って音量が下がる分だけ、ゲインを上げると高音とバランスが良くなったようです。

背面の逆相の低音が出る穴

共鳴器がイヤーパッドのメッシュと接触しているせいで機能していないのではないかという可能性があるので、CD900STにも付いている輪っか状のクッションを付けてみました。 これも効果がある気がします。

共鳴器からイヤーパッドのメッシュを遠ざける

耳に当たるので、クッションの形を変えてイヤーパッドの中に入れてみました。 付け心地も良いですしこれで良い気がします。

イヤーパッドの中に入れた

イヤーパッドの裏側に空間ができるなら、ドライバーの前面から空気を抜く穴を追加していくことで、セミオープンみたいな高音が出ないかというアイデアも出てきます。

ドライバーの全面から空気を抜く穴

いじりすぎて何が何だか分からなくなってきましたけれど、出過ぎていた低音が抑えられて、こもっていた高音が透き通って聞こえるようになったので、ヘッドホンの構造が大まかに理解できて勉強になりました。

このしっかりめな低音はドライバーによるものなのではないかと思うので、高域に定評がある40mmドライバーを買って交換するというのも面白いかも知れません。 もちろんそこにお金をかけるくらいなら最初から評判の良いもう少しお高いヘッドホンを視聴して買う方が良いです。 あくまでも自己責任でいじって遊んでみた、という記事でした。


パッシブミキサー

かなり前に作ったものです。 友達に基礎的なギターレッスンをするときに、アンプにギターを2本つなぐのに使っています。

パッシブミキサー

インプットとアウトプットとの間に100kΩの抵抗をつなぐだけのシンプルなものです。 これがないと片方のボリュームやトーンを使うともう片方のギターにも効いてしまいますが、これがあると影響がかなり減って分離されます。

その分、ボリュームが下がったり少しハイ落ちしたりしますが、用途によってはこれで十分遊べます。

2ボリューム2トーンのジャズベースにもこういう機構だった時期がありますね。


自分のデュオソニック2のネック側ピックアップを交換した

友達のストラトがあまりに良い音がするので、抵抗値を計測してマネして巻きました。

ピックアップを交換した

そのピックアップは、コイルの外径に対して抵抗値が明らかに低いのです。 ですのでボビンの内部を太らせて中空のコイルを8000ターンくらいの外径になるまで巻いてあります。

外径の大きさがあるせいか低音も出ていますが、ターン数が少ないので倍音も損なわれていません。

単純にターン数を下げたときのチャキチャキとしたカッティング向きピックアップとはまた違った、とても色気のあるピックアップになりました。 

このギターは、ボリュームを絞っても音色が変化しにくいようにスムーステーパー抵抗とハイパスコンデンサを吟味して、トーンのコンデンサも1弦の音量が下がらない程度に容量を減らしてあります。

ボリューム7くらいで音量を決めて、トーンを絞ったらボリュームを上げるという使い方をすると非常に表情が豊かな音色が得られます。

手元でいじりたい人、クリーントーン~クランチくらいまでのローゲインなギターを弾く人にはこの作り方をしたピックアップはおすすめですね。 


初期スティングレイの基板を見せてもらった話

初期型スティングレイをお持ちのお客さんが、勉強のために基板を見せてくれました。

おそらく時系列的には隠蔽有り・セラコン・タンタル電解・出力保護抵抗なし→隠蔽無し・セラコン・タンタル電解・出力保護抵抗なし→隠蔽無し・セラコン・アルミ電解・出力保護抵抗有りと変化していったのだと思うのですが、これは隠蔽有り・フィルムコン・アルミ電解・出力保護抵抗無しです。

おそらくですが一番初期の基板ではないでしょうか?

初期スティングレイの基板

位相補償の120pFと、トレブルの500pFの2カ所はスチロールコンデンサのようです。

初期スティングレイの基板

出力保護抵抗は本来、オペアンプの出力のすぐ近くに入れるのが良いとされているようですが、基板に入れ忘れたためにジャックの直前に外付けされています。

出力保護抵抗

これがないと、シールドのコンデンサ成分とオペアンプの出力がショートしてしまって、条件によって容量性負荷発振します。 具体的には、ボリュームをフルにしてシールドをさすと歪みつつ音量が下がってしまって、一瞬ボリュームを絞ると調子よく動く、みたいなことがよく起こります。

今回見せてもらったスティングレイはこの抵抗が入っていませんが発振していません。 タンタル電解とアルミ電解でESR(等価直列抵抗)が一桁くらい違うようですから、アルミ電解であることで容量負荷と出力が分離されているのかもしれません。 タンタルに仕様変更したことで発振トラブルが頻発して、アルミ電解に戻しつつ保護抵抗も入れたという時系列かも知れませんね。

持ち主曰く、「同じスティングレイでも音が違う」とのことなので好きな人にとっては繊細なものなのですね。 セラミックコンデンサとフィルムコンデンサでは経年劣化の仕方も違うと思うので、時を経てイコライザーの周波数特性が変わってきているのかも知れません。

反転バッファ付きの基板を考え中です。

反転バッファ付き基板を考え中

これはアルミ電解とフィルムコンデンサで作りましょう。