パッシブミキサー

かなり前に作ったものです。 友達に基礎的なギターレッスンをするときに、アンプにギターを2本つなぐのに使っています。

パッシブミキサー

インプットとアウトプットとの間に100kΩの抵抗をつなぐだけのシンプルなものです。 これがないと片方のボリュームやトーンを使うともう片方のギターにも効いてしまいますが、これがあると影響がかなり減って分離されます。

その分、ボリュームが下がったり少しハイ落ちしたりしますが、用途によってはこれで十分遊べます。

2ボリューム2トーンのジャズベースにもこういう機構だった時期がありますね。


自分のデュオソニック2のネック側ピックアップを交換した

友達のストラトがあまりに良い音がするので、抵抗値を計測してマネして巻きました。

ピックアップを交換した

そのピックアップは、コイルの外径に対して抵抗値が明らかに低いのです。 ですのでボビンの内部を太らせて中空のコイルを8000ターンくらいの外径になるまで巻いてあります。

外径の大きさがあるせいか低音も出ていますが、ターン数が少ないので倍音も損なわれていません。

単純にターン数を下げたときのチャキチャキとしたカッティング向きピックアップとはまた違った、とても色気のあるピックアップになりました。 

このギターは、ボリュームを絞っても音色が変化しにくいようにスムーステーパー抵抗とハイパスコンデンサを吟味して、トーンのコンデンサも1弦の音量が下がらない程度に容量を減らしてあります。

ボリューム7くらいで音量を決めて、トーンを絞ったらボリュームを上げるという使い方をすると非常に表情が豊かな音色が得られます。

手元でいじりたい人、クリーントーン~クランチくらいまでのローゲインなギターを弾く人にはこの作り方をしたピックアップはおすすめですね。 


初期スティングレイの基板を見せてもらった話

初期型スティングレイをお持ちのお客さんが、勉強のために基板を見せてくれました。

おそらく時系列的には隠蔽有り・セラコン・タンタル電解・出力保護抵抗なし→隠蔽無し・セラコン・タンタル電解・出力保護抵抗なし→隠蔽無し・セラコン・アルミ電解・出力保護抵抗有りと変化していったのだと思うのですが、これは隠蔽有り・フィルムコン・アルミ電解・出力保護抵抗無しです。

おそらくですが一番初期の基板ではないでしょうか?

初期スティングレイの基板

位相補償の120pFと、トレブルの500pFの2カ所はスチロールコンデンサのようです。

初期スティングレイの基板

出力保護抵抗は本来、オペアンプの出力のすぐ近くに入れるのが良いとされているようですが、基板に入れ忘れたためにジャックの直前に外付けされています。

出力保護抵抗

これがないと、シールドのコンデンサ成分とオペアンプの出力がショートしてしまって、条件によって容量性負荷発振します。 具体的には、ボリュームをフルにしてシールドをさすと歪みつつ音量が下がってしまって、一瞬ボリュームを絞ると調子よく動く、みたいなことがよく起こります。

今回見せてもらったスティングレイはこの抵抗が入っていませんが発振していません。 タンタル電解とアルミ電解でESR(等価直列抵抗)が一桁くらい違うようですから、アルミ電解であることで容量負荷と出力が分離されているのかもしれません。 タンタルに仕様変更したことで発振トラブルが頻発して、アルミ電解に戻しつつ保護抵抗も入れたという時系列かも知れませんね。

持ち主曰く、「同じスティングレイでも音が違う」とのことなので好きな人にとっては繊細なものなのですね。 セラミックコンデンサとフィルムコンデンサでは経年劣化の仕方も違うと思うので、時を経てイコライザーの周波数特性が変わってきているのかも知れません。

反転バッファ付きの基板を考え中です。

反転バッファ付き基板を考え中

これはアルミ電解とフィルムコンデンサで作りましょう。


ヒグチのオイルコンデンサ

SonicのOC-223を取り付けたいというお客さんのために2個仕入れました。 このコンデンサはもともとSonicターボブレンダーなどのサーキットに取り付けるためにヒグチ電子に注文していたものですが、ヒグチのオイルコンデンサの評判が良く、コンデンサの聞き比べなどが好きな人のために容量誤差5%以内のものを選別パッケージした商品になっています。

スカッドにもヒグチのオイルコンがあるのでサウンドハウスで買ってみました。

ヒグチのオイルコンデンサ

いま流通しているOC-223 の方は円筒形です。 昔は金属製の缶ケース入っていましたが、あれは金型が寿命になってなくなったように思われます。 他のメーカーのオイルコンも同時期に形状変更になったので、ケースを作っていた会社が他にあったのか、あるいは他社ブランドのオイルコンもヒグチ電子が作っていたということでしょうか。

ヒグチのオイルコンデンサ

一方でスカッドの方は断面が楕円の卵焼きみたいな形をしています。

ヒグチのオイルコンデンサ

同じDUシリーズで、耐圧や精度も同じに見えますが、製造時期で形が違うだけでしょうか? 好きな人は両方買って試す楽しみがありそうです。

ちなみに缶ケースに入っていた頃のヒグチのオイルコンデンサはこんな感じでした。

ヒグチのオイルコンデンサ

私の研究ではこのコンデンサはもともとマルコンブランドで販売されていたのだと考えられます。 Marconのロゴマークが付いたバージョンです。秋葉原のジャンク屋さんで見つけました。

マルコン時代

マルコンで廃番になったあとも真空管アンプやギター関係機材、高電圧電源回路などのために生産を継続してくれているわけです。 とても有り難いことですね。


いろいろチェック【ピックアップを持ち上げるブロックを作る-1】

赤いギターにリフィニッシュされる前のスペシャルです。 レギュラーラインのスペシャルはピックアップが上げ下げできるように作られていますが、「そこにクッション性があるせいで音が違う気がするので埋めたい」ということです。 きれいに埋め戻すのには手間もお金もかかりますので、それっぽいブロックを簡易的に作ることになりました。

リフィニッシュ前のLPスペシャル

押すとフカフカしますよね。

ピックアップ部分

メイン機として弾いておられる2001年製のヒスコレのスペシャルです。 これを計測してブロックの高さなどを考えることになりました。

2001年製ヒスコレLPスペシャル

リア。

リアPU

フロント。

フロントPU

弦を張った状態で弦とカバーの上面やポールピースの距離を測りました。

で、分解してみたら・・・。バネが出てきてしまいました。 このギターは以前もお預かりしているのですが、バネが入っているようです。 ではブロックで固定するのは何か違うかも知れませんね。

バネ

それはそうと、P-90についても調べさせてもらうことになりました。 Tokaiのスペシャルに載せるために、みんな大好きな2001年製ヒスコレのスペシャルに登載されているP-90に近いものを作るというテーマもあって、改めてピックアップも見せてもらいます。

先日のP-90計測会では、メーカーごとにボビンの幅が違うことが分かりました。 うちで仕入れたボビンと幅がそっくりです。 これはラッキーですね。

ボビンが似ている

P-90のマグネットは内側に同じ磁極を向けるのでしっかり止めておかないと両側へ分かれてしまいます。 そのためブラス製ベースプレートを真ん中で折り曲げてあるようです。 そのせいでボビンが変形していますが、変形していない部分をノギスで測ると全く同じです。

ボビンの幅が同じ

続いてワックスポッティングについてです。 作ってみて分かったのですが、P-90タイプはパーツも多く裏から叩くとカンカン言いがちですし、コイルの中央が膨らんでポンポン言いがちなので、本家もガッチリワックスで固定してあります。 ハウらずにフィードバック奏法ができるわけですね。

ワックスポッティング

コイルはフォームバー皮膜線ですね。

まさかのフォームバー皮膜線

私が試作したときと同じで、巻き始めホットにすることで、コイルの外周を利用してシールド性能を上げているようです。 白がアースにつながっています。

巻き始めホットで合っている

断線しそうで怖いのですぐに戻しておきました。 真冬にも一度計測したのですが、今の室温での直流抵抗値やインダクタンスも参考になります。

元に戻した

フォームバー皮膜線で試作をやり直さなくてはいけないですし、ヒスコレの方にバネを入れていたなら、レギュラーラインの方にブロックスペーサーを作るべきかも振り出しに戻ったので、チェックしたらチェックしただけ謎が深まってしまいました。

みんな大好きな青いスペシャルに載っているというピックアップはやたら低音が出る気がしましたが、ボビンの幅もワイヤの種類も巻きも磁力も全部違っているのが原因のようです。 あれはあれで使い道によっては良いんですけど。

ギブソンとTokaiの両方を持っているお客さんに頼まれた、持ち替えたときに違和感が少ないピックアップを作ろう思います。