塗装とコイル巻き取り【デュオソニックⅡをエレアコみたいな音がするミュージックマスターにしたい-2】

今回はあえてターン数を減らして、音量は小さいけれどエレアコみたいな音がでるピックアップを作りたいです。

ノイズを減らしたいのでコイルを1~3弦側と4~6弦側に分けてハムキャンセルさせます。 ストラトのピックアップボビンに4000ターンだけ巻いて、並列接続にしていきます。

ボビンをカットする

こんな構造になっています。

コイルを巻く前

コイルを巻き取ります。

4000ターンの並列にしてみる

ボディは車のDIYリペア用缶スプレーを使います。 まずは色の吹きつけから。

ブリリアントスポーティブルーメタリック

リアピックアップキャビティにピックアップの音量を上げる基板を入れることもできそうですね。 EMGみたいな感じですね。


ツヤありの4558

最近、お客さまとツヤありの4558は音が良いのかどうかという話になりました。

ツヤありの4558

半導体には個体差があります。 トランジスタひとつだけに注目しても、例えばよく使われる2sc1815の電流増幅率は、ロットごとに抜き取り検査してブラックだとかイエローだとか、グレードわけして売られていたりします。 ましてやオペアンプICの中にはたくさんのトランジスタが入っているわけです。

ローノイズなものを選別した2sc1815LやNJM4558DDという型番のものもありますね。

NJM4558のデータシートを見てもらえれば分かりますが、プラスマイナス15ボルトの電源を与えたときの性能を最小~平均~最大の3つの数値で表記してあります。

9ボルト電池を分圧して上下4.5ボルトで動かしている時点でフルの性能で動いていませんし、TS9などの回路では増幅回路1段で限界までゲインを上げたりするので、高い周波数まで増幅できなくなって結果的にミドルがでていたり、いかにも個体差が現れやすそうな状況で使っているように感じます。

そう言えば「4558のツヤありに交換したら音が変わった!」と言っている人で、つや消しを2個以上試した人にまだあったことがありません。 おそらくロットごとに違うはずなので、外観のツヤにこだわらずつや消しもいろいろ試してみるのが良いと思います。 4556とか近い型番の物もたくさんありますし。

写真のオペアンプは同業の先輩がくれました。 どうやら、差し替えてみたけれど違いがサッパリ分からなかったからくれたようです。 そういうこともあると思います。

 


ハイパスコンデンサのテスト

ボリュームに付けるハイパスコンデンサの値を探っています。 シングルコイルピックアップと250kΩのポットに対して、1500pFと150kΩの組み合わせにしてみました。

ハイパスコンデンサを試す

音色に違和感なく音量が下がっているように聞こえます。 ピックアップやポットによりそうですが、この辺りを中心に探せば良さそうな気がします。


コイルを使ったミッドカットの試作

出回っている回路図にはコイルの型番しか書いていなくてインダクタンスが分かりません。 基本的にはバリトーンスイッチに似た回路ですので0.5~1.5Hくらいなのかな?と予想していろいろつないでみています。

コイルを使ったミッドカットの試作

回路図には0.01μFと書かれていますが、0.1μくらいにするとハーフトーンをエレアコ風にミッドカットできて面白いような気がします。

ただ、コイルの並列容量か何かが別のピークを産み出しているような変なローミッドブースト感を感じるのですが、シミュレータを回さないとどうなっているのかよく分かりませんね。 バリトーンスイッチは確か100kΩの抵抗を直列に入れてフィルタを作りますが、これはピックアップコイルのインダクタンスや直流抵抗値、並列容量などと直接共振するので難しさを感じます。

なので結局ギターに入れるよりバリトーンスイッチの一部を取りだしたものとしてケースに入れる方が使いやすそうです。

あと、コイルのインダクタンスを調べようと海外のフォーラムをみていたら、「当時のギブソンはLCRメーターがなくてスタッフも正確な数値を知らなかった」みたいな嘘かほんとか分からないような話もあって面白かったです。 秋葉原で500mHのコイルが入手可能なので3個くらい買ってきて、コンデンサと一緒にいくつか直列つなぎしてみてはいかがでしょうか。


ストラトのピックアップをまき直してみる

私のストラトにはラ社に勤めていたころの試作PUがそのまま付いていました。 3弦のポールピースを下げてあるのが特徴です。 3弦が巻き弦の時代にデザインされたままの高いポールピースのピックアップに今時のプレーン3弦を張ると、どれだけフロントピックアップを下げても磁力に引っ張られてワンワンとうなりが止まらないのです。

ただ、それを含めてギタリストは演奏しているので、この仕様に変更したピックアップの音を楽器店の店員さんに聞いてもらったら「ギターボーカルは使いやすそうだけれど、ソロを弾く人はすごく違和感を感じる」と言われました。 それは確かにそうだと思いますね。

外したピックアップ

’60s風な設計で、フロントは8300ターンとかで、リアは9000ターンを越えるくらい巻いてあります。 フロントは6弦がややぼやけて1弦の高い音が拾いきれないのですごく斜めになって下がっていましたし、9000以上巻いてもやっぱりストラトのリアは耳が痛い音がします。 いろいろ試してみたくなったので巻き直してみます。

コイルを取り除いた

フロントピックアップからはタップ線を出します。 ターン数を下げたピックアップを勧めているyoutubeチャンネルさんがあって、先方のSEOに便乗したりサジェストを汚染してはいけませんから名前を出しませんがみんな大好きなあのリペア屋さんのあれです。

タップ線を出す

ターン数にリスペクトを込めておきました。

ターン数

ちなみにセンターは2000だけ巻いて7000のリアと直列に入れます。 リアハムは見た目が好きではないし、音もシングルよりにしたいのでトータルは9000になっていてビンテージ風ハムバッカーくらいありつつ、巻き数はリアによっています。

センターは2000t

フロントはトータルで7000まで巻きました。 もともと8300くらいだったのを減らしたのですごくスッキリしました。 セッティングも1弦側と6弦側でフラットになったので気に入っている証拠だと思います。

もともとストラトが設計されたときは7000ターンだったはずですが、巻いてみるとボビンに対してすごくちょうどいい感じがします。リア用に9300とか巻くとカバーに引っかかりそうで危なっかしいくらいです。

フロントのタップ線は本当に面白いです。 良いアンプを所有している人でカッティングする人は一生弾いていられるのではないでしょうか。 人間の耳が敏感な数千Hzを越えたもっと上にエッジが伸びているので切れ味があるのにきつくない、低音が整理された音という感じでした。 もちろん音量は下がるのでゲインの補正は必要です。 ハーフトーンに比べてタッチがそのまま出るのでアクセントやニュアンスを付けるのが上手い人は大好物だと思います。

試しに2000ターンをフロントの7000に並列で混ぜてみたのですが、こちらは音量が下がりすぎてノイズとの比率が気になりました。 外来ノイズもサーっと高域へ伸びていて、ギターの音域とかぶってくるのでアンプで生演奏なら使えそうですが、ヘッドホンや録音だと環境を選ぶと思います。

フロントのハーフトーンって、人によってはサウンドだけでなくノイズをキャンセルしていることに意味があるのかも知れません。 今回はあえて同巻き同磁極で作りましたが、センターも巻き数をそろえて(場合によっては少なく巻いて)、逆巻き逆磁極にしたほうが個人的には使いやすいと思いました。