マスタートーンをふたつ付けてみた

容量の違うコンデンサを使って、マスタートーンをふたつ付けてみることにしました。 ストラトのトーンに0.047μFを付けた場合、絞り込んだときに1弦の基音の音量ごと下がってきてしまうことがあるので、もう少し容量の小さい物を付けてみることにしました。 たまたまあった0.027μFを使います。

コンデンサは皆さんそれぞれテンションの上がる物をご自由にお選び下さい。 私は電子工作に興味を持った頃に、大阪の電気街で買ったような懐かしいデザインのこれにしました。 楽器に登載するコンデンサとしては不人気ですが、個人的には逆に懐かしくて良いです。

懐かしくて逆にテンションが上がる

ポットは洗浄して使いました。 トーンが常時2個になるので、トーンポットの抵抗体を3番端子付近で削ってフルにしたときアースから切り離されるようにしておきました。

トーンはフルアップ加工した

こんな感じにしました。

2種類のコンデンサを使ったマスタートーン

結果から言うと、小さい方はもっと小さい値を試してみたいですね。 0.01μFとかにしてみます。 0.047の方はコイルと組み合わせてバリトーンスイッチみたいにノッチフィルタにしてみたくなりました。 プレゼンスを残してトレブルをカットできるとふたつのトーンの連携が生まれそうな気がします。


2回路5接点のレバースイッチ

アナログデザインの10ターミナルスイッチです。 構造はオーク社の物に似せてあるようですね。

通常の5ウェイスイッチはクリック感が5カ所あるだけで実際には3接点で、途中で両方の接点につながっているところで止めることができるだけの3ウェイスイッチの改良版になっています。 このスイッチは本当に5接点あるタイプです。 スーパースイッチと呼ばれる4回路5接点は基板が2枚になっていてこれの倍の回路になっています。

2回路5接点のレバースイッチ

機能としては問題なさそうです。 赤い線で囲った軸の部分に遊びがなくて本家よりも立て付けが良く個人的には気に入りました。

立て付けが良い

通常の5ウェイスイッチは切り替え時にどちらかの端子には絶対つながるので、もし変な位置で止まっても音が出ない瞬間がないのが優秀なところで、こういうスイッチは多機能なところが魅力ということになります。 ちなみにクリック感がしっかりしているので、接点が変な位置で止まることはなかったです。

「ストラトでフロントとリアのハーフトーンを出したい」とか「タップの音が出るポジションを作りたい」とかそういうことに使えそうです。


御宿海岸の猫

お客さんが見せてくれました。 HSWのSPICEの実機です。

SPICE

話題になった、ビンテージワイヤでホットとコールドを結線しただけという圧巻の中身がこちらです。

圧巻の中身

ちなみにSPICEは絶縁ジャックを使用していません。 コールドのビンテージワイヤとケースがショートしています。 では、ピックアップへの戻りの電流は果たしてビンテージワイヤの中を流れているのでしょうか? それともアルミケースの表面を流れているのでしょうか?

シュレーディンガーの(=^x^=)

これはとても難しい問題で、おそらくですが人間が観測しようとするまでは一粒の電子が波のような確率的に分散した存在となって配線材とケースの両方を同時に流れます。

しかし人間が観測しようとするとその瞬間、電子は粒子となってビンテージワイヤ側で現れたり、アルミケースの表面で現れたり、どちらか一方にだけ存在するようになるはずです。

つまり量子力学の「シュレーディンガーの猫のパラドックス」がこのエフェクターには存在しているのです。

 

 

レコーディングエンジニアのお客さんが、ボードの最後に入れてみたら音が良い感じに落ち着いたからつないで録音したことがあると言っていました。 皆さんもお気に入りの電線で似た物を自作チャレンジされてみてはいかがでしょうか。 ちなみに私はDCジャックのスルーを追加した「ほんだし」を自作したことがあります。 「ほんだし」は、12V仕様の古いBOSSエフェクターの保護ダイオード回路をショートさせて9V駆動するためのダミーエフェクターとしても使えました。

4年ほど前に御宿にお邪魔して以来お目にかかっていませんが本多氏は元気にされているでしょうか。


タップボリューム(=ダーボブレンダー)ポットの研究

タップボリュームにハイパスコンデンサを追加することはできないのか、というお客さまの提案について実際に実験しました。

ハイパスを付けるためにはポットの3つの端子を使ったボリューム的な配線にする必要があります。 しかしAカーブではテーパーが合わず変化が気に入らないのでスムーステーパー抵抗RとハイパスコンデンサCを付けることにしました↓

スムーステーパー抵抗やハイパスコンデンサ

半固定抵抗でいろいろ試してみたのですが、テーパーが気持ちいいところで計測すると12kΩとかしかないのです。 20kΩを越えると気持ち悪くなります。 12kΩとボリュームの2~3番端子間の抵抗を並列合成したものに対してハイパスコンデンサを付けても、抵抗値が小さくて聴感上効いているようにはなりませんでした(ちなみに上図の矢印を描き込んだところで抵抗体をカットする、いわゆるフルアップ加工をしたブレンダーの場合は3.3kΩ~4.7kΩくらいでテーパーが一番合うように感じました)。

それもそのはずで下図のような可変抵抗としての使い方に戻ってきてしまうのです。 これは非常に簡単な回路ですし、シングルからハムまでの音量と音質の変化の繋がりが良いです。 ただ、今回分かったのは2番と3番の間に数kΩ~10数kΩの抵抗を取り付けてボリュームとして使う方が変化が偏らなくて良いということです。

比較すると、可変抵抗型のブレンダーポットはシングル側でやや多めに変化しているように聞こえました。6~9でも変化が感じ取れるように全体に拡がりました。

結局戻ってくる

ということでBカーブの場合を調べました。 10年くらい前に1軸2連のBカーブを使ったフルアップブレンダーポットを考案したのですが、今になって気になるのはブレンダーを効かせ始めた辺り(シングルから少し動かした辺り)で一度音量が下がるように聞こえる点です。 下のコイルの音量が上がってくる前に、抵抗体が上のコイルの妨げになるという動きをしているように感じます。

Bカーブはテーパーに問題がある気がする

ハイパスコンデンサCに0.01μFくらいの比較的大きな値の物を使うと音量や音色の繋がりが良くなることが分かりました。 ですが、これはBカーブのブレンダーの短所を改善しただけで、お客さんの言うタップボリュームにハイパスコンデンサを付けることはできるのか、という問題を解決はしていません。

おそらくタップボリュームにハイパスコンデンサを付けてしっかり効かせることはむずかしいのではないでしょうか? ただ今付いている可変抵抗型のフルアップタップボリュームポットに抵抗を並列に入れるとさらにテーパーをきれいにできることがわかりましたし、気持ちではありますがハイパスコンを取り付けておくということはできますね。 結果的にテーパーを改善したら気持ちよくなる気がします。

自分のギターには3.3kΩを付けて組み直したました。 もう少し大きくても良い気がします。・・・4.7kΩか・・・。

3.3kΩを入れたフルアップブレンダーポット

ピックガードのエッジが立っているので外したついでに削りました。

エッジが立っている

エッジを尖らせると格好良くなりますね。

エッジを尖らせた


S-S-Hブレンダー(H-S-Hブレンダー兼用)の研究

3シングルのストラトのミドルピックアップの音を、リアピックアップに直列に混ぜることができるS-S-Hブレンダーを作っています。 フロントピックアップに効かせることもできるのでH-S-Hブレンダーにもなります。 今まで何人かのストラトに登載しましたが好評です。

ハーフトーン時にブレンダーが干渉して意味不明な動きをしないように4回路5接点のスーパースイッチを利用しています。 スーパースイッチは切り替わるときに接点がオープンになるので、ものすごく絶妙な位置に止まってしまったら無音になるリスクもあるので、ライブよりはレコーディングやセッション向きかもしれません。

H-S-Hブレンダー

シングルコイルを直列につなぐブレンダーは、電気的構造としてはハムバッカーのタップボリュームと全く同じです。 ですので、お客さんのレスポールを改造する前に自分のギターでもう少しタップボリュームを研究することにしました。

H-S-Hブレンダーの研究

Aカーブ250kΩ、フルアップ加工したAカーブ250kΩ、Bカーブ250k、スムーステーパー抵抗(実験では半固定を利用)、ハイパスコンデンサなどを組み合わせて試しました。

部品を交換してみる