マグネットにも個体差がありますし、測る場所によってハッキリとした数字が出るわけではないので、どこをどう測って比べるかを探します。
たくさん計測するとだんだんとですが、傾向が分かってきました。
コイルの種類、直流抵抗値、インダクタンスをピッタリ合わせたコイルを作ってみたわけですが、今お預かりしている98年製のヒスコレのスペシャルと比べるとかなり出力が違います。 マグネットが違っているようです。 P-90オタクの人から聞いたマグネットと実際使われているものは違うようです。 比較的お手軽なお値段のガウスメーターを買いました。
磁力が一番強い、端にあるポールピースを裏側から測って比較しました。 トーカイに付いているもの。
レギュラーラインのP-90 。 これは同じマグネットです。
ヒスコレP-90。
今回作ったものは明らかに磁力が弱いです。
アルニコ5。
アルニコ2。
アルニコ3。
なんとなく分かってきました。
ハウリングしないようにコイルをワックスに漬け込みました。
抵抗値やインダクタンスは目標に近い値になりました。
このあとバンプ好きなお客さんと6時間くらいP-90についてあれこれ試したのですが、トーカイのスペシャルはフロントをあえてそのままにして、リアだけヒスコレに近い値のものに交換するとCDに近い音になることが分かりました。
トーカイに載っているピックアップは控えめなターン数のコイルで倍音多めなバランスにしていて、それを強いマグネットで音量補正したような作りになっています。
リアを交換して太めにすると「ブリン」が出てきて、フロントの「ザリン」とミックスしたときの音からクランチを作ると良いようです。 ただこれをすると、フロント単体とリア単体では音のニュアンスが遠くなって切り替えて使う人には違和感がある可能性もあります。
2001年製のヒスコレに付いているピックアップを分解して調べさせてもらった結果、コイル線の材料が違っていたことが分かったのでもう一度試作品を作り直します。
巻き取ったところはこんな感じ。
組み上げました。 この状態で抵抗値やインダクタンスはかなり近い物になっています。 ですが、ポールピースを鉄製の物で叩いた時にアンプから出る音が少し低いです。 ワックスを入れれば線間容量が増えて高域が出てくるのでしょうか。
ワックスに漬け込みました。 指で叩いてもマイクロフォニック現象はほぼ起こりません。 フィードバック奏法でハウらないことは大事です。 P-90タイプは裏から叩くとカンカンいって、表から叩くとポンポンいいますから、ワックスポッティングは絶対必要になると思います。
右がヒスコレで、左が今回私が作ったものです。 ポールピースを叩いた時にカンカンと高い成分が出てきて、聞き分けが付かないレベルになっています。 この周波数はワックスで出ているんですね。
ヒスコレからトーカイに持ち替えたときに違和感がないピックアップができあがりそうです。 手送りで巻いたコイルであることや、SEB構造のボディや仕込み角の違いがあるので載せてみてまださらに違和感があったら巻き数を調整しましょう。