写真はピックガードアッセンブリーが完成したところです。
ボリュームの2番端子がジャックにつながるので、そこから直流電圧表示のアナログテスターに出力して、ポールピースを鉄製の工具で叩いたときの針の振れる方向で位相を確認します。
ハーフトーンでフェイズアウトしていないかこれでチェックできます。
テスターの黒いリードはアース電位のどこかに触れていれば良いのですが、コンデンサの足がワニぐちクリップでつかみやすいですね。
これは数年前に、とある仲の良いお客さんがオークションで手に入れたというネックです。 あまりにも状態が悪いので所有権を放棄して帰られましたので、それからずっとうちにあります。
指板の表面がバッキリと割れています。 ネック材が柔らかくてトラスロッドナットがめり込んでいった結果、押しつぶされた木部が指板を持ち上げて割れるのです。
反った分を指板を削ることで無理やり修正しようとすると指板が薄くなって強度がなくなり、さらに割れやすくなります。
ネック裏はこんな感じ。 スカンクストライプがないので、トラスロッドは表側から仕込まれています。
メイプルにメイプルが張られているので、境目がパッと見ただけでは、よくわかりません。
バインディングのラインがぼやけているので、指板を削ったあとに貼り直したような気配がありますね。
ヒールはこんな感じ。 ネジ穴もダメになっていそうです。
トラスロッドがめり込んだ分、スペーサーが入っています。 これがまたさらに木部をつぶしていくのでしょう。
こういうネックにはベンドロッドは向きません。 潰れて、反って、締めてを繰り返していつかは割れるだけでしょう。 2ウェイロッドとかチャンネルロッドといった構造のものに交換すれば何とかなるかも知れませんね。
どうなっているのか知りたくて、研究のためにバラします。 まずはフレットを抜きました。
1フレットのブロックポジションマークを外しました。 ここも埋木の横が割れていますね。 そもそもこれはベンドロッドなのかどうかもよく分かりませんね。 ロッドのストッパー部分が出てくるのかと思ったのですが埋木は真っ直ぐです。
エンド側もマークを外しました。 埋木周辺から割れています。
バインディングを外した結果、指板は1弦側が多めに削られていることが分かってきました。
サイドポジションマークの位置が変わっていますね。 上のマークの中央が指板の貼り付け層です。
ナット付近の指板の貼り付けはこういうラインです。
これ、一度指板を剥がしてみたいですね。
こういう「ロッドトラブルでたたき売られてしまっているかわいそうなネック」たちをまた使えるようにできないものでしょうか。 ロッド入れ替えを練習するのもいいかもしれませんね。
木が柔らかいのは強度面で問題ですが、もうこれ以上地球の木を切れないようになってきていますし(ローズ材もきびしいですよね)、あるものを大事に使ってみるのも良いかもしれないという気持ちになってきているのです。
学生時代を共にしたグレコとかフェルナンデスとかも、復活させてまたガンガン鳴らしてほしいと思っているので、修理受け付けを再開したら押し入れから出してオーバーホールに持ってきて下さい。
TI社のICが入手困難になっていくとすると、簡単で便利なレールスプリッタIC、2426もなくなるのではないでしょうか。
レールスプリッタという、プラスマイナスの電源の中点に仮想グラウンドを作る回路はに、いろいろ発展系があります。
抵抗で分圧して大容量コンデンサを付けるだけの方式、そこにオペアンプを追加して仮想グラウンドをバッファする方式、そのオペアンプの帰還ループの中にさらにディスクリートでバッファを組む方式、オペアンプの帰還ループの中にバッファICを入れる方式、ディスクリートで上下対称のカレントミラー回路を組む方式・・・
どれもいまひとつ、わざわざ自作するほどの魅力を感じないなあと思っていたらこんな回路図が思い浮かびました。
動くのかどうかは知りません(笑) もし作る人がいたらあてはまりそうな定数も自分で調べて下さい。
ホイートストンブリッジの中に閉じ込められたオペアンプが反転入力と非反転入力の電位をゼロにしようと電流を吐き出すことで、左のアンプの負荷がほぼゼロになって性能が上がるという仕組みのレールスプリッタです。
無難に大容量な導電性固体アルミ電解とか付けておけばたぶん動くのでしょうし、性能も悪くないのではないでしょうか。 RとLとアースが3極全部Class-AA方式になるヘッドホンアンプって変わった回路だし、作るのも難しくないので自作する楽しさがありそうだなと思いました。
まぁ、分圧抵抗と大容量コンデンサだけでも動くわけで、もはや自己満足でしかないかもしれませんが、それこそが自作電子工作の楽しさでもあります(笑) いつか作ってみたいですね
ラムトリック社製作のSonicというブランドのJBタイプです。 私がまだラムトリックカンパニーで働いていた頃に設計したBonheur(ボヌール)というプリアンプが登載されています。
ボヌールはBirdcageオリジナルプリアンプBCPシリーズの元になっています。 文化放送の電波が強い川口で製作したボヌールは外来ノイズにめっぽう強い一方で、自分で発する半導体ノイズがやや多めな定数になっています。 それくらいしないとベースアンプから文化放送の音声がでてしまったからです。
東京都北区に引っ越してきてから作ったBCPシリーズは「川口の環境が異常なだけで、なにもこんなにラジオ電波に強い構造である必要はないのでは?」と思い直したので、定数を見直して「サー」という半導体ノイズをなるべく減らしました。 その結果、部品の配置を変更することになって基板は全く新しいものになりました。
このベースは、ライブ前に電池を交換したらプリアンプを通した音が出なくなったということでした。 結局はバッテリーボックスから出ている線が断線しただけだったのでBB-04の交換ですぐ直りました。
ただ今回、他にも想定された故障原因がありまして、それがBCPの製作技法に新しいアイデアをもたらしてくれました。
お問い合わせ頂いたときにお客さまが「電池を一瞬、プラスマイナス逆に入れたからかもしれない」とおっしゃったのです。
電池を逆に入れた場合、内部の回路を守るために保護ダイオードに電池からの電流がバイパスされるようになっています。 そこで考えられたのは
1 その一瞬で電池が空になるほどの電流がバイパスされた。
2 保護ダイオードが電池からの電流に耐えられずショート方向に壊れてしまった。
の2パターンでした。
問題は2の場合です。 以前修理した楽器に登載されていたアギュラーのプリアンプにも同様に、保護部品が原因と思われる故障があったのですが、内蔵プリアンプはモールドされているため、結局その保護部品の交換修理ができないことになってしまいました(OBP-2が壊れたベースのブログ記事。記事の中ではデカップリングコンデンサにショートモードで壊れがちなタンタルを使ったのではないかと予想していますが、電池を逆につないで保護ダイオードがショートモードで破損した可能性もあることに後あと気が付きました。)。
BCPも同様に、保護ダイオードが壊れている場合は部品の交換が必要ですが、今までの組み立て方法では、この部品の交換が難しいのです。 これから作るBCPは保護部品を外に出して修理できるように改良しようと思います。
この黒い部品が保護用に入れてあるダイオードです。 こうしておけば交換が可能ですね。 これで塗装も完成させて、良さそうなら仕様を変更しましょう。