ついに修理ができた!【MU-TRONⅢの修理-11】

「フォトカプラのLEDを駆動する時に電源を通じてオペアンプに信号がフィードバックされて発振している説」を実証するために10μFのデカップリングを付けてみました。 しかし変化無し。 とは言え、あった方が良いと思うので付けたままにします。

デカップリングコンデンサ

信号の通り道に入っているカップリングコンデンサを用途に合わせてバイポーラに変更しました。 緑色のものがそれです。

「たびたび逆電位がかかることでの劣化がICに影響を与えている説」を実証しようという試みでしたがこれも空振りに終わりました。 電解コンデンサは劣化するものなのでこれもそのままにしましょう。

カップリングコンデンサをバイポーラに

初段のアンプの発振を疑って、高域のゲインを下げるためのセラコンを出力端子と反転入力端子の間にうちました。 残念ながらこれも変化無し。

初段のアンプに発振止めのセラコン

いよいよ迷宮入りかというところで、ひとつ気になることを発見しました。 このミュートロン、フォトカプラを交換する前は普通に音が出ていて、エフェクトがかからないという状態でした。 歪み始めたのはその後です。

純正ではない型番のフォトカプラに入っているLEDを駆動するせいで他に影響が出ているのではないかと疑ってきたのですが、フォトカプラ自体の性質にもっと根本的な違いがあるのではないでしょうか。

壊れて外した方のフォトカプラをもう一度計測している時に気がつきました。 LEDが光っている時の抵抗値が300kΩもあるので使えないのですが、本来の明抵抗値はいくつだったのかが分かっていないのです。

元のフォトカプラを調べる

赤○のところにフォトカプラ内の抵抗体がくるわけですが、手に入るアナログフォトカプラの明抵抗は数十Ωしかありません。 考えてみたらそれではA3とA4の入力インピーダンスが低すぎるので、それぞれの前段にあたるA2とA3が十分な出力電圧を出せず歪むのです。

おそらくこの0805というオリジナルのフォトカプラの明抵抗は桁違いに大きいか、直列に抵抗体が入っているのではないでしょうか。

原因が判明

そこに抵抗を足すと見事に動作しました。 どういう抵抗値にすべきかということについては一切資料がないので、ステートバリアブルフィルタ部のカットオフ周波数を手計算してあたりをつけました。 これに気が付くまでにすごく時間がかかったので抵抗値は内緒です。

エフェクトがかかるようになって次に問題になったのは、アップモードとダウンモードで使えるゲインの値が違いすぎることです。 モード切替スイッチで22kΩと並列に12kΩが入るような仕掛けになってはいるのですが、アップモードはゲインを最小にしないとフィルターが上がりっぱなしになってしまうのです。

アップドライブ時にゲインを上げられない

赤丸のところを47kΩにしてみましたがそれでもまだまだ差があります。 あまりオリジナルの使い心地を変えてしまってもいけないのでこれより上げる必要はないかもしれません。

江川ほーじんさんのブログ記事でもそういったことが書かれている上に、掲載されている写真のツマミの位置が、この固体と全く同じ方向を向いているのです。 つまり、これで正常動作をしているものとみなして良さそうです。

飛び道具であることが魅力なエフェクターだけに仕上げの落としどころが難しいですね。 他にもモードスイッチが多いので、部分的な使い心地をこれ以上つめるのはよしましょう。