木栓で穴埋め【ロックナット取りつけ穴が大きいIbanez-1】

このIbanezは、ロックナットを裏側からとめているネジがなくなってしまったそうです。

お客さまがご自身で新しいネジを買って取りつけようと思ったら穴が大きく、ワッシャーが斜めにめり込んでいくらしくて、そのせいでネジが取れてしまったのだと気がついたそうです。

アイバニーズ

両方とも穴がいくつもあいているのですが1弦側がひどいですね。

ロックナットが締まらない

表側が特にひどくて3~4個穴をあけてるようです。 製造時にやむにやまれぬ理由があったのかもしれませんね。

穴が何個もあいている

裏側のくぼみが8.4ミリくらいの径だったので、8ミリのドリルで突いて、その穴をメイプルの木栓で埋めます。

メイプルのプラグを作る

ここからもう一度穴をあけ直せばきれいになるでしょう。

穴を埋める


塗装の劣化

ビネガーシンドロームで劣化したピックガードに反応した塗装です。

ピカピカのネジを年末につけてみたのですが、2週間してケースを開けてみると曇っています。

ネジがさびる

木部にささっている部分はピカピカのままです。

ネジ頭だけがさびている

リフィニッシュしない限りはピックガードをつけるのは無理かもしれません。

あえてさびやすいものを側に置いておくとか対処法があれば良いのですが。


パンチファクトリーの修理

バリバリとノイズが出るコンプレッサーを預かりました。 お客さまはジャックが怪しいというのですが、どうもスイッチの方が問題のようです。

パンチファクトリー

ミニスイッチが付いているのですが、そこのグリスが劣化したのか、あるいは何か飲み物がかかってしまったのか、切り替わるのがゆっくりになっています。

スイッチが切り替わるときにバリバリいっているように見えます。

パンチファクトリーを分解

右のふたつはDIとして信号を取り出す時のスイッチなので、今回は赤いスイッチだけを交換しようと思います。

ジャックがベタついている

外しました。 熱で変形してしまいましたね。

スイッチを取り外す

似た形のスイッチが秋葉原のラジオデパートでひとつだけ見つかりました。 たぶんもうディスコンなのでしょう。 スイッチをハンダ付けします。

新しいスイッチを付け直す

音を出してみました。 切り替わるときにはパチパチいいますが、切り替わりがハッキリしたので、バリバリいうことはなくなりました。

修理完了

これで使ってみてもらいましょう。


Shuerマイク Model548の修理

お客さまがマイクの掃除をしようと思って開けたら配線が断線したというマイクです。

マイクの修理

ユーザーズガイドに配線図があるので助かります。 このグリーンとイエローが切れていました。 ブラックは修理するために分解しました。

Model548のユーザーズガイド

ねじりこんで組み立てるようになっているので、グルグルひねって配線をあらかじめ逆方向にねじっておくことで、組み立て時に断線しないようにするのがコツです。

修理完了

ちゃんと音が出ましたよ。


ドンドン錆びていく楽器

ハードケースを開けるとネジ類がさびているというミステリアスなベースをお預かりしました。

ケースにしまうたびにどんどんさびが進んでいくそうです。 時にはベースがじっとり湿っていることもあるそうです。 ケースを変えても同じで原因不明とのこと。

最初は、どこかから御札でも出てくるのかとビクビクましたが、よく調べてみるとピックガード付近のフレットやネジ類しかさびていません。 ブリッジ周りやペグは大丈夫なのです。

それで気がつきました。 この1プライのパール柄ピックガードはおそらくアセチ製です。

パール1Pのピックガード

材料屋さんがアセチと呼ぶこの素材は、クシや髪留めなどの代替ベッコウやパール柄素材としてよく使われているものです。 アセテート繊維の材料でもありますね。 これはトリアセチルセルロースとか酢酸セルロースという物質です。

アセチル基は「CH3CO-」なのでこれが加水分解すると素材本体にHがくっついて、アセチル基のほうが「CH3COOH」つまり酢酸になります。

充満した酢酸のガスで周りの金属や塗装が酸化しているようです。 たまたま私がモントルーの社長さんと仲がいいので、こういう素材の特性を知っていましたが、普通のリペアマンは気がつかないかもしれません。

そうと分かれば部品をバラして酢酸から遠ざけます。 さびてしまったものは交換。 使えるものは一度洗浄します。

パーツの洗浄

ネジを見ると空気に触れる部分だけがさびています。 材が湿っているせいでさびているのであればネジの先までさびるはずです。

さびたネジ

ピックガードと一緒にビニール袋に閉じ込めてみた新品のネジです。 2週間でここまで曇りました。

さびたネジ

TAC素材はフイルム用途の素材として、ニトロセルロースとポリエステルの橋渡し的な時期に使われていたのですが、それらが加水分解でドンドンだめになっていっています。

マイクロフィルムなどの重要な記録が失われる危機が世界中で社会問題化していて、これらの事象は「ビネガーシンドローム」と呼ばれています。

今回のお預かり品は、楽器におけるビネガーシンドロームと言えそうです。

TACのビネガーシンドロームで素材が汗をかくことはおそらくないです。 たぶん塗装が変質して塗装の方も同じような崩壊過程に入ってしまっているのだと思います。 古いラップトップPCや電子辞書の液晶画面で同じようなことが起こります。 リフィニッシュか、ピックガードを付けずに外に出しておくかでしょうか。