チェックしていく【カスタムショップJBのピックアップ・リワイヤリング-1】

仲の良いお客さんからジャズベが送られてきました。 ピックアップを巻き直すことで高域を削ってミッドローを強くして欲しいということです。

カスタムショップJB

このジョイント部に見覚えがあります。 2014年まで働いていたLumtricでチューンナップしたことがありますね。 この部分の木部がはがれていて接着しました。

フレットの端の仕上げを見れば誰が作業したか分かります(笑) 9年間働きましたが後半6年くらいは私がフレットワークを担当していました。

見覚えがある修理箇所

楽器を自分で改造して楽しむお客さまなので、10万円かけてチューンナップしたのにあちこちが変わっています。 ポットがハンダだらけになっていますね。

大変なことになっている配線部

ピックアップを計測してみました。 ネック側、ブリッジ側ともに9kオームくらいです。 カバーの感じからしてセイモアダンカンでしょうか。

参考に送られてきたファットな音がするというフェンダーのピックアップが7kオームしかない’70s系倍音きらびやかなものだったので、それは一度忘れて9kオーム以上あるものを巻きます。

Birdcageオリジナル商品のハイブリッド・JBピックアップの’60s側のターン数を参考にします。実際の60年代ピックアップよりややターン数を増やして中低域を誇張してあります。

ピックアップを計測

まずもとのコイルを切ります。

ピックアップを分解

温めてワックスを除去しました。

ワックスを除去

 


セキュリティロックピンの取り付け【エピフォンのサンダーバードの修理-2】

 

エンドピンの下穴をあけました。 もとの穴は弦長方向にあいていて、ボディのラインにあわせてねじが曲がっていました。 ボディの接線に合わせてあけ直しました。

エンドピンの下穴

ジョイントビスを交換するので穴をあけ直しました。 もとのストラップピンを共締めしていたねじが細めだったので見た目をそろえました。

ジョイントの下穴

新しいストラップピンはここにつきます。

ジョイントプレートの加工

ネジ穴があきました。

ストラップピンの下穴

セキュリティロックがついたところです。

ストラップピンがついたところ

このサドルには番号が振ってありますね。 ブリッジを組み立て直して弦を張ります。

サドルに番号がふってある

ネックも調整しました。 ナット溝が浅かったので少し削って弾きやすくしました。

完成

弦高が下がった分、ピックアップの高さも調整したのでなかなか良い音がでるようになりました。 このベースでTHE YELLOW MONKEYのコピーをやるそうですよ。 楽しげです☆


穴埋めをします【エピフォンのサンダーバードの修理-1】

エピフォンのサンダーバードです。 いろいろと問題があってお預かりしました。

エピフォンのサンダーバード

張力に引っ張られてアンカーが浮き上がってきています。

アンカーが浮いている

アンカーを一端抜いて穴を補強しようと思います。

アンカーを抜く

シャーラーのセキュリティロックに交換仕様としたら、ネックジョイントねじと共締めだったので交換できなかったそうです。 コントロールプレートに穴を追加して取り付けることにしました。

で、お客さんに場所を指定してもらったのはいいのですが、全く同じ位置にボディをルーティングするときに固定した治具穴があいていました(笑)

セキュリティロックをつける

これではねじがとまらないので埋めました。 今までストラップピンがついていたところも1本だけねじが細かったので一度埋めてあけなおすことにしました。

埋める

 


mu-tron iiiの修理で分かった☆回路解説と電源の注意点【MU-TRON Ⅲの修理-2】

ミュートロンの回路構成がなんとなく分かったので掲載しておきます。

断線箇所

入力部は反転アンプです。 ここからフィルター部と制御系に分岐します。

入力部

まず制御系からです。 入力信号の振幅をオペアンプを使った理想ダイオード回路で直流に直しているようですね。 その先の4.7μFの電界コンデンサの容量を変えたら充放電の時間が変わってフィルタの反応が変わりそうな気がします。

理想ダイオード

ドライブというスイッチがありますが、これはアナログフォトカプラのLEDをどうドライブするかというスイッチです。

強い入力に対してLEDが点灯するのか、逆に点灯していたものが消えるのか。

正確には分からないのですがオペアンプの反転回路と非反転回路を入れ替えるような仕組みです。 この回路図が合っているのかも分かりませんし大まかな検討だと思って下さい。

LEDをドライブするアンプ

肝心のフィルタ部はステートバリアブルフィルタです。 3個のオペアンプを使用する複雑な回路ですが、カットオフ周波数とゲイン幅とQのパラメータを自由に決めることができます。

パラメトリックイコライザーを動作させるためのバンドパス信号を取り出す回路としてよく使われます。

オペアンプの間に220kオームの抵抗がふたつありますが、ここを変化させることで周波数を変えることができます。 そこにアナログフォトカプラのCDS側をつないであります。 CDSは光が当たると抵抗値が下がる性質があるので、入力の強弱に合わせて制御系がLEDを点灯するとフィルターの周波数が可変することになります。

ステートバリアブルフィルタ

ステートバリアブルフィルターは3カ所から信号を取り出すことができます。 場所によってハイパス、バンドパス、ローパスとなります。 ミュートロンにはこれらを選ぶスイッチが付いています。

出力部

というわけで、エフェクターとしてはかなりの飛び道具ですが、内部の回路は非常にスマートにできています。

最後に電源部です。 このエフェクターはグラウンドを中心にプラス9ボルトとマイナス9ボルトで動いています。

回路図を見ていて気がついたことがあります。

電源部

このエフェクターは電源に問題があります。 電池を入れたままアダプターをつなぐと、電池の両端に電源アダプターの電圧がかかります。 つまり減った電池を充電してしまうのです。

充電式でない電池を充電するのは破損することもあるので危険です。

今回の故障の原因はおそらくこれです。 電池を入れたままアダプターをつなぐ。 電池が液漏れを起こす。 電池から漏れた液が基板面に着く。 基板パターンが腐植して絶縁を起こす。

事故調査委員会のようにトラブルのシナリオが書けてしまいました。 古いミュートロンを使っている人は気をつけて下さいね☆