ナットを交換するとき、周りの塗装が一緒に割れないように、塗装を切る工程があります。 レスポールの場合、ヘッドとの境目に塗装がたくさんのっていますから、しっかり除去する必要があります。
ナットを外して、接着剤を取り去ります。
ここに粗加工をした新しい牛骨ナットを取り付けるところから始まります。
トグルスイッチをリアポジションにした時に音が出なくなってしまったというトーカイのレスポールスペシャルタイプです。
お話をメールでうかがったときは、スイッチ端子が動く時にスイッチ周りの配線がいっしょに動いてしまって、シールド線の網がショートするパターンかと思ったらどうやら違うようです。
フロントのポジションでは通常通り音が出ます。 センターにした時は音が変わりません。 つまりフロントしか出ていないのです。 ショートして音が出ない場合はセンターではミックスのサウンドが出るか、両方とも音が出なくなりそうなものです。
ショートならノイズも出ないはずなので、アンプに耳を近づけると、リアポジションではうっすらとフロントの音が出ています。 フロントのボリュームとトーンも効いているという不思議な状態であることに気が付きました。
これは複合的な何かが起こっていると思われますので、中を開けてみます。
ショートではなくオープン(絶縁)ということなので、断線や接触不良を探しました。 結果、リアボリュームの2番端子がハトメのところで接触不良を起こしていました。
また、このギターはトグルスイッチにつながる部分に、3芯のシールド線を使ってあって、白=フロントのホット、黒=リアのホット、赤=スイッチからの出力とつながっていることが分かりました。
このシールド線内のクロストーク現象で、リアを選択している時にも、フロントの出力がうっすら漏れ出てきているのだと思われます。 正常に音が出ている時には気がつかなかったクロストークに、故障がきっかけで気が付いたという面白い経験になりました。
ギブソンの場合は単芯シールド線を3本使っているのでこの現象はおそらく起こらないか、度合いがかなり低くなると思われます。
つまり、3芯シールド線を使っているレスポール系コピーモデルは、単芯3本に変えると音が変わる可能性があるということですね。
結果的に電線が太くなりますので穴に通るかどうかを調べる必要がありますが、Sonicのプリミティヴ・サーキットPC-L01などに交換するのは、見た目や耐久性、あるいはコピー度合いの向上以外に、音色にもしっかり関係していると言えます。
このクロストークの位相も気になるところです。