全体をチェック【古いジャズベースの全体調整-1】

古いジャズベースをお預かりしました。

JB

4弦の音程がアンプを通したときに気になるそうです。 ピッチが不安定でシャープするとのこと。 また、ピックアップを叩いた時にカンカン音がするのが気になるそうです。

ミュートしたときにフレットと弦が当たる音が大きいのも気になるそうです。 私の弾き方ですと、右手のゴーストノートに対して反応が強い気がします。 ただピックアップの特性のように思うので、ネックがそっていることによるフレットと弦の当たり具合以外は正常ではないでしょうか。

ピックアップとサドル

トラスロッドナットがめり込んでいます。

ロッドナット

3弦をミュートするためにテープが巻かれています。 ナット上で弦に角度が十分についていないからヘッド側へ振動が逃げてしまうのだと思います。 これはおそらくネックが順反ったときに調整のために指板を削りすぎてしまっています。 こうならないためにヒーター修正はやっぱり必要です。

ナット付近

全体的にポジションマークが薄くなって透けていますね。 材が柔らかくてロッドナットがめり込む→ネックの順反りが止まらない→指板を削ってつじつまを合わせる→指板が薄くなる→ロッドナットで押しつぶされた木が指板を押し上げて指板が割れる→さらにネックの順反りが止まらなくなる・・・ということが起こっています。

最終フレットも他に比べて削り込まれているので、これも順反りを削って合わせた形跡です。 調整がアンバランスになっている原因はネックの大きな反りで、これを本気で直すには指板の張り替えしかないと思います。 大がかりな木工が得意な工場部門があって修理もやってくれるメーカー系ショップに頼んだ方が良いと思います。

指板を張り替える必要があるところまで削られたネックというのは意外に出会わない物でこの仕事を20年近くしていてこれが2本目です。 前職のラ社で働いていたころに見て以来ですね。 あとは数年前にお客さんにもらったジャンクネックもこうなっていましたね。

指板

ペグブッシュが浮いていますね。 これは修正しましょう。

ブッシュ浮き

1メートルのスケールをあてて、理論上オクターブチューニングはこのあたりにきそうというところにサドル調整しました。 今の弦が磁化している可能性もあるので、弦を交換してどうなるか試します。

オクターブ調整

ピックアップは確かにマイクロフォニック現象が見られます。

マイクロフォニック現象

ワックスポッティングしてみる価値があると思います。 ポールピースを触るとジージー言いがちなのは古いフェンダージャズベースにありがちなコイルの巻き始めをホットにしてある配線のせいだと思われます。

巻き終わりがコールド(アース共通)になっているとシールド効果がありますが、ポールピースとホットが近いので手で触ったときにノイズが乗りやすいです。 ピックアップフェンスやブリッジカバーを付けたまま弾くことを前提にデザインされていたのでこうなっているようです。

ワックスに漬け込んでみたり、必要であれば白黒の線も逆に繋いでみたりしてもいいかもしれません。

ネックが順反っているからサドルが下がっているとか、その分だけピックアップが弦に近づくとか、フレットと弦が最終フレットあたりで当たるとかそういうことがアンバランスさの根本的な原因のようなので、どのくらい良くなるかはやってみないと分かりませんね。

ネック調整ができない以上、問題を完全にリセットはできないので、できることは少なく簡単なことを試す感じになります。


最終調整【2012年製のレスポールスペシャルの部品交換-5】

弦も落ち着いたのでナットの弦溝を調整しました。

ナットの弦溝を調整する

ブリッジはスタッドの一番下まで下げました。 全体的に12フレット1.6mmくらいの弦高です。 本家バダスは厚みがあってこうなりがちですね。

ベタ付け

3弦の弦溝だけ調整しました。 弦の太さと、サドル上での弦の角度が原因で、弦高が少し上がりがちになるからです。

サドルの弦溝を調整する

一部の開放弦がキーンと共鳴する感じがあったのですが、サドル付近を押さえると止まります。 細かい部品が共鳴しているような気がするので部品を仮固定しておきます。

部品の共鳴を止める

これで完成です。

完成


フロントピックアップの位相変更と全体調整【AriaProII STRIKIN’SOUNDの配線改造-2 】

トラスロッドにトルク安定剤を塗りました。 ロッド調整します。

トルク調整剤を塗った

ピックアップは磁極が逆になるように着磁しなおしたのですが、リアピックアップと逆巻き逆磁極になるようにしたほうがノイズキャンセルできて良いことに気が付いたので、磁極は元に戻して、配線をホットとコールドを入れ替えました。

ピックアップを取り外した

これで問題なく使えるはずです。

配線を入れ替えた

弦を交換して、ロッド調整、弦高調整をしたので、オクターブチューニングをやり直しました。

サドルの調整

弦に対してピックアップが近すぎたのでピックアップの高さ調整をしました。 弦に近いと磁力の影響を受けすぎてワンワンとうなってしまい、チューニングが合いにくくなります。 リアの音が小さめでミドルの音が大きめだったのでバランスを取りました。

ピックアップの高さ調整

これで完成です。

完成

マツモク時代のストラト型は2~3万円くらいで取引されているようですがなかなか良いですね。


疑似テレキャスター的な改造配線を作る【AriaProII STRIKIN’SOUNDの配線改造-1】

アリアプロのストラトタイプです。 リアピックアップを選択している時にフロントの音をミックスできるように改造します。

マスターボリューム、バランサー、マスタートーンという構成になります。

ピックアップが弦に近くて低音弦が唸っています。オクターブチューニングが不規則に並んでいるのはそのせいかもしれません。

配線は改造されています。 現状マスターボリュームは汚れが原因と思われる不安定さがあって、フロントトーンはフロントボリュームとして効いています。 ミドルトーンは効いていません。 何が起こっているのでしょうか。

ミドルトーンから来た線が、コンデンサの1次側でむき出しのアース線とショートしています。 これが原因でフロントトーンがボリュームになってしまっています。

ポットを清掃するので、今後再び汚れが入らないようにキャビティの中を掃除しました。

ネジがフカフカになっているところがあったのでタイトボンドで簡易的に補修しておきます。

スイッチのミドルトーン配線がいわゆる天ぷらハンダです。 すっぽ抜けているから効いていないようですね。

マスターボリュームは3番端子のハトメが緩んでいます。 ここが動作が不安定な原因かはまだ分かりませんが、接触不良になっている可能性があるので締め込んでおきました。

ポットは分解清掃しました。 スライダーを研磨して、抵抗体を洗浄します。

ブレンダーはトーンポットを流用します。 ツマミを絞ったときにフロントとリアを並列でショートさせるので、フルにしたときは干渉しないように抵抗体を一部削ってカットします。 いわゆるフルアップトーンの状態にします。

できあがった配線がこんな感じ。

スイッチが3ウェイなので助かりました。5ウェイだとリア側のハーフトーン時もブレンダーが効くことになります。

配線図

で、ここまで完成して音出しまでしてから嫌なことに気が付きました。 リアピックアップは明らかに違う物が付いているのですが、フロントとミドルは同じものが付いています。

しかし配線の出方が表側と裏側で異なっています。 磁極はフロントから順番にSトップ、Sトップ、Nトップ。 鉄製の工具をピックアップに近づけたときにアナログテスターが振れる方向は左、右、右となっています。 この状態のままフロントとリアをミックスするとフェイズアウトします。

これはおそらく、配線を逆にしたらノイズが消えると思って配線だけ逆にして磁極を逆にすることをしなかったパターンではないでしょうか。 前に作業した人の落とし穴だらけですね。

というわけで、このフロントピックアップは一度外して着磁を逆にする必要があります。

ジャックはピュアトーンを持ち込んで頂きました。 シールド線が付いていたので似た物で新しい線に交換しておきます。

ネックが結構順反っているのですが、トラスロッドは全く締まっていませんでした。

順反りのクセが付くので締めたほうが良いと思いますが、その分だけ弦高をサドルで上げる必要も出てくるので、ピックアップの高さ調整も含めて、全体のバランスを整える調整もやった方が良いか、一旦このままお返しするのが良いか御相談してみましょう。