フェンダージャパンストラトの改造とメンテナンス

フェンダージャパンのストラトです。 配線の改造とメンテナンスでお預かりしました。

フェンダージャパンストラト全景

現状3ウェイスイッチになっています。これを5ウェイ化しつつ、ツマミをマスターボリューム、マスタートーン、ブレンダーとなります。

ブレンダーはネック側ピックアップ選択時とブリッジ側ピックアップ選択時のみに効くようにして、H-S-H(ハム-シングル-ハム)配列のストラトのように動かせるようになります。

サーキット部

ジャックは少し汚れていますが、特に問題なくノイズもないのでこのまま清掃して流用します。

ジャック部

トラスロッドを少ししめます。 ロッドナットを清掃してグリスを入れます。 シムが付いていますが不要ではないかと思いますので取り除きます。

トラスロッド調整

弦高調整用のイモネジの出具合に注目して下さい。ネックを直すともう少し弦高が下がるのでさらにイモネジが飛び出します。 ということはシムは必要なさそうだ、ということです。

サドル

ペグがかたいということなのですが、ブッシュが浮いてきてギアのかみ合わせが悪くなっているのも原因のひとつです。

ブッシュ浮き

押し込み直して接着剤を充填しました。 回し心地が重めのペグを4・5弦に移動してなるべく違和感を感じないように工夫しました。

ブッシュ浮き修正

こちらがもとの配線です。 これを改造していきましょう。

外したアッセンブリー

と思ったら、ピックアップの高さ調整ゴムがひとつ外れました。 交換しておきましょう。

ゴムが取れた

ボリュームはお好みに合わせてBカーブを採用しました。 ボリュームを絞ったときにも高域の劣化を抑えるためにハイパスコンデンサも登載することになりました。

改造配線の製作

スイッチで切り替えたときと同じところまでピックアップの配線を完全なシリーズにするため、ブレンダーポットの中の抵抗体にひと工夫を施します。

ブレンダーポットの加工

キャビティの中がコンパウンド(塗装を磨くための粉)だらけだったのでついでに掃除します。

コンパウンドの除去

完成した配線はこちらです。この配線キットは後日Birdcageパーツのラインナップに加わります。 すでにKTSアップグレードハウスで試奏動画の撮影もさせていただいたので動画が完成しましたらまたアップしますね。

ブレンダーは5ウェイスイッチの両端でのみ効きます。 ミドルピックアップや各ハーフトーンを選択している時にはうまく分離されて意味不明な動きをしないように作りました。

ミドルピックアップを少しずつ他のピックアップにシリーズで混ぜることができます。ミドルが逆巻き逆磁極であれば当然ハムノイズのキャンセルもできます。

改造アッセンブリーの完成

トレモロの調整をしていきます。 トレモロを止めている6本のネジを適切な締め具合にしているところです。 なかなか動きは良いです。

トレモロの調整

1・2弦に関してはこのあたりの逆反りがあって1音チョーキングで音がつまります。 今回はすり合わせまではやらないことになっていますので一度お返しして、またいつか次回お預かりしたときに直します。

ここさえうまく修正できればかなり良いネックになりそうです。

10フレット付近

というわけで完成です。 ストラトを楽しく弾いて欲しいですね。

完成

 

 


ピックアップキャビティのルーティング【フェンダーメキシコJBの修理-4】

ゴムスポンジは経年劣化で固くなってしまいがちなので、こまめにピックアップの高さを調整できるようにするにはスプリング内蔵型のスポンジを入れるのが良いです。

ただスプリング内蔵型のスポンジを使うには、経験上キャビティを20ミリくらいの深さにしたいです。 今が18ミリ。 あと2ミリ掘りたいです。

あと2ミリ深くしたい

ベアリング付きトリマービットで追加加工しました。

ピックアップキャビティのトリマー加工

ピックアップ取り付けネジの下穴がかなりずれてあいています。 これもピックアップがキャビティ内側に接触して上下調整しにくい原因になっていました。 ここも埋めてあけ直したいと思います。

ネジ穴がずれている

ピックガードをこのリアルセルロイドピックガードに交換させてもらうことになりました。 フェンダー・メキシコのピックガードよりグッとヴィンテージっぽくなります。 装着して弦を張ったらおそらくもうメキシコに見えないんじゃないかと思います。

リアルセルロイドピックガード

ピックガードが変わることで位置が変わるねじ穴は以下のようになります。

ピックガードのネジ穴埋め

ピックアップ取り付けネジの穴も埋めました。

ピックアップ取り付けネジの埋め直し

明日、スポンジが到着しますので作業が進みそうですね。

ネックの仕込み角を変えてもう少し背面に倒したいのですが、シムで対応するのか、ボディ側のジョイント角を変えるトリマー加工用治具を作るかそろそろ考えないといけませんね。

ハイポジション起きしがちなネックを抱えているのでハイ起きの原因にもなりがちなシムは避けたいものです。


まずは状態のチェックから【レスポールカスタムのメンテナンス-1】

3フレット付近で音がつまるということでお預かりしました。 どういう状態なのか確認していきましょう。

レスポールカスタム全景

ネックの1弦側より6弦側の方が順反りが強くなっています。この時期のメイプル3Pネックにありがちな左右の反りの差が出ています。ヘッドも少し1弦側へ振っています。

その上でハイポジションの順反りが強く、それを修正しようとトラスロッドがネックの中央を持ち上げて逆反っているので3~7フレットでビリつくというようなやや複雑なことになっています。

ネックの反りとチェック

しかしそれにしてもビリ付き方が極端で何か他の原因もあるような気がします。

ブリッジ周辺かと思われる謎の共振があります。 3弦のハイフレットを鳴らしたときに顕著でまだどこで鳴っているかわかりません。

ブリッジがどこかのタイミングで逆転した形跡があるのも少し気になっています。

共振している

1弦のサドルに6弦のあとがあります。 ビグスビー登載ギターではこのブリッジを逆に付ける方がオクターブ調整がしやすいので、もしかすると一時期今と逆に付いていたのかもしれません。 サドルの向きからしてこの向きで工場出荷されていそうですが。

もしかしたらサドルも良くないことになっているかもしれません。 このタイプのサドルは溝が深くなるとサスティーンがなくなることがあります。

原因が分かるまでじっくり調べようと思います。

 


昭和

お客さんが来られたときに一緒に蚊が入ってきたので今年初でこれを出しましたよ。

ヴェイプ

あえてマットがあるタイプをつかっています。

ノーマットってマットがないタイプだからノーマットなのかとこれを買ったときに気がつきました。

お客さんはこれを初めて見たそうなので平成生まれは見たことがないのかもしれません。

 


下地塗装【wife風レリックベースの組み込み-6】

ウレタン・サンジングで下地を作りました。 現物のwifeはサンバーストが密着不良なのか最終的にナチュラルになりますが、下地はしっかり残っています。 ポリ下地になった時代のものだからでしょう。

下地塗装

研磨しいていきます。 レリックになるのでラフな仕上がりでも良かったのですが、ついついきれいに仕上げてしまいました。

ウレタン下地の研磨

ヘッドも下地はウレタンにしました。こちらも研磨。

ヘッド面の下地研磨

研磨に使っているパッドはギタークラフト科時代に使っていたものですね。 友達のとまさくんが居酒屋でみがいたメニュー文字で書いてくれた「己を磨け!」です。 これもこの後余ったウレタン塗料で塗装しました。

己を磨け! とま

トップはラッカー塗装になります。 ダンボール製簡易塗装ブースが大活躍です。

下地研磨終了

前職のラムトリックカンパニーでは塗装をしていなかったので久しぶりの塗装作業はとても楽しいです。