トラスロッドナットがめり込んでいる【マスターグレードストラトのネック修理-1】

マスターグレードのストラトをお預かりしました。 ネックの順反りが強くて弦高を下げることができません。 また、フレットがビンテージタイプの狭くて低いものなので、好みに合わないそうです。 弾きやすくするためにネックの反りを直してフレットも交換します。

マスターグレードストラト全景

ネックの順反り具合がとても大きいです。 きれいなトラ目が出ていますが、おそらく木材自体が柔らかいのだと思われます。

順反りがきつい

木が柔らかいから張力に負けて反る→トラスロッドをしめる→とりあえず真っ直ぐになるが、ロッドナットが押しつけられている部分の木がめり込む→トラスロッドの効きが弱まる→またしめる→くりかえすうちにロッドナットの奥にロッドが到達してしまう→トラスロットが効かなくなるというスパイラルです。

つぶれた木部がロッドのねじ切り部分をくわえ込んでしまって引っ張ってもロッドが出てこなくなるという最悪の状態にはまだなっていません。 一般的にこういうネックはヒーターで反りを修正します。

しかしそれだけではまた反ってきてしまうので根本的な解決になりません。 フレットの溝を狭くして指板側からネックを支えることができるようにします。

トラスロッドがめり込んでいる

トレモロはほんの少しだけフローティングになっています。 弦を押さえたときのテンション感が気持ちいいところに合わせるとこうなるそうです。 ストラト弾きのこういった繊細な感覚は非常に興味深いです。

ほんの少しのフローティング

ボディ側のジョイントねじ穴がきついです。 ここがきついとねじの力がネックを引きよせることだけにかからず、ボディにもかかってしまいますし、ネックのねじ穴についたねじ溝を感じることができず、ねじ穴をダメにしてしまうことがあります。

実際、ねじ穴がひとつダメになっているので、メイプルのプラグで穴埋めをしなくてはいけないことになっているようです。

ネジ穴がきつい

ネックを外して反りを確認します。 張力をかけず、トラスロッドも緩めた状態でも順反っていますね。 柔らかいネックは弦を張ったときにその分順反りますので、もっと真っ直ぐか少し逆反っているくらいになっていても良いと思います。

そうでなければロッドナットがあたっている部分の木部にかかっている力を緩めてあげることができません。

反り具合を確認

まずはヒーター修正からです。 すでに1回、全体にかけたのですが、イマイチの効き方だったのでローポジションとハイポジションに分けて修正していきましょう。

ヒーター修正

メイプル・ワンピースネックは接着面がないのでヒーターは効きにくいですね。