Capriceのチェックと全体調整

ミュージックマンのパッシブPJです。

Caprice

Capriceって初めて見ました。

Caprice

ネックはハイ起きしています。 弦高は高めでも弾けることもあってある程度は割り切っている、とのことです。

ハイ起き気味

ブッシュが浮いています。 手直ししましょう。

ブッシュ浮き

オクターブチューニングは理論上の位置に対して、だいたい合っています。 弦交換してさらに追い込みましょう。

オクターブチューニングの確認

ボリューム2個は金属ノブ特有のファサファサしたノイズがあります。 トーンは内部に起因するガリノイズがあります。

コントロール部

ほこりの混入はガリノイズの原因になるのでピックアップキャビティも掃除したいです。

ホコリが気になる

ロッドナットにグリスを注しました。 弦を張っていない状態だと、ネックの中でトラスロットからカンカンと音がします。 弦を張っていると収まるようなので問題ないでしょう。

ロッドナット

ペグを外します。

ペグを外した

ブッシュを固定し直しました。

ブッシュ浮き修正

めくれ上がってきていたジョイントのネジ穴を補修しました。

ジョイントネジ穴補修

キャビティ内はきれいに清掃されています。 基板になっていますね。

キャビティ内部

ピックアップキャビティを掃除します。

ピックアップを外す

クッションも効いていますし、ネジは木ネジではなくてアンカーが打たれています。

ピックアップを外す

トーンポットの中をエアーで掃除しました。 2番端子のスライダーにナノカーボンを塗ったらノイズが消えました。

トーンポット

金属ノブをアースに繋げるために導電性グリスを塗りました。

導電性グリス

音出しチェックです。 ポットのノイズがなくなりました。

ノイズが消えた

フレットを磨いておきます。

フレットクリーニング

弦を交換してオクターブチューニングをやり直しました。 ナット側も斜めになっているタイプなのでサドルの並びが普通とは違った感じになっています。

弦交換とサドル調整

ロッドナットはかなり固いところまで回っているので、これ以上順反るようであればヒーター修正ということになりそうです。

ロッドはギリギリ

ネックが落ち着いたら完成です。

完成


アース線の修理など【K.Nyuiの弦アース修理-2】

ネジの力でネジ穴の周辺がめくれかけていたので、ノミや面取りビットで表面を整えて低粘度の瞬間接着剤でコーティングしておきました。

ネジ穴の補修

トラスロッドナットにグリスを注しておきました。

ロッドナットにグリスを注す

浮いているブッシュを押し込んで固定し直します。

ブッシュの固定

ボディを分解しました。

分解した

導電塗料はキャビティを繋ぐ穴の中まで塗られていて、きちんとアース電位につながっていましたが、リアピックアップキャビティから弦アース線を出すついでに、他のキャビティ同士も距離が遠いところを電線で繋いでおきます。 アース電位までのインピーダンスが下がってシールド効果がより高まることも期待できます。

コントロールキャビティにアース線を集めて、母線をコントロールアッセンブリに向かって出しておきます。

導電塗料にアース線を繋ぐ

アース線と、外していたピックアップの線のハンダ付けが終わりました。 ポットからのノイズは観測されなかったのでポットはそのまま使っています。

元の配線

ジャックは信頼のスイッチクラフト製が良いとのことだったので、スイッチクラフトの11Lを付けておきました。

スイッチクラフト11L

ノブの向きは、フルの時に弦と文字が平行になるようにしました。

ノブの向きを直した

トラスロッドを少し回してネックを真っ直ぐにしました。

完成

弦高調整とオクターブ調整をしてから、ピックアップの高さ調整をしました。 ネックを直したので、弦高がやや下がりました。 お預かりした時が少し高めだったのですが、それよりは少し下げた方がこのギターの良さを活かせそうなので、下げすぎない範囲で私の感じたこのギターのニュートラルなセッティングを出し直しました。

磁力に引かれて弦が少し唸っていたので、フロントピックアップを下げて、それに合わせてリアも調整し直しました。 その分だけ低音や音量感が下がっていると思うので、足下でゲインを稼いでもらうと今までよりも倍音と基音のバランスが良く鳴ると思います。


スイッチクラフトとピュアトーンのモノラルジャック

左がスイッチクラフト製、右がPURETONE製のジャックです。

スイッチクラフトとピュアトーンのジャック

スイッチクラフト製はチップ端子にバネ型の端子がひとつ、スリーブ端子は筒状になっている部分の内側のどこかに接触するようになっています。

スイッチクラフトとピュアトーンのジャック

一方でPURETONEのジャックはチップ用にふたつ、スリーブ用にふたつのバネ端子が有ります。

またプラグの曲面に沿うように凹凸がつけられているので、接触する箇所が多いです。

長くギターに使われてきた信頼と伝統のスイッチクラフトか、バリバリとノイズが出ることが少ない多接点なピュアトーンか。 どちらがお好みでしょうか。

部品代は今どんどん上がっているので確かなことは言えませんが、価格はピュアトーンの方が少し高いです。


原因のチェック【K.Nyuiの弦アース修理-1】

K.Nyuiをお預かりしました。 弦を触ってもノイズが小さくならず、コントロールパネルなどをさわりながら弦を触るとノイズが減るとのなので、弦アースがつながっていないようです。

K.Nyui

確かにブリッジ部分とアース電位に導通がありません。

弦アースがつながっていない

ブリッジを外す前にオクターブチューニングを確認しておきましょう。 適正な位置にサドルがあるように思われます。 ブリッジを外したあと、元に戻すときはこれを参考にします。

オクターブの確認

コントロールパネルを外すといきなりハンダの塊が出てきました。 これはあとから配線を改造した形跡ですね。

ハンダのかけらを発見

リアピックアップキャビティを開けると、ピックアップの高さ調整用のゴムチューブがでてきました。 リアピックアップをあとから交換したときに弦アースがなくなってしまったということなのだと思います。 金属製のエレベータープレートが無いタイプのピックアップに交換されています。

ゴムチューブが出てきた

ツバ出し指板なのでネックを外してからピックガードを外します(ツバ出し指板を考案したのって乳井さんですよね)。 0.3mmのシムが入っていました。

0.3mmのシム

とりあえずネジ穴があいているタイプに交換しておきます。 こっちの方がまだハイ起きの原因になりにくいからです。

シムを交換

ネック側のピックアップキャビティです。 導電塗料は、穴を通じてトンネル状に塗られていて、配線はつながっていませんがアースにつながっています。 しっかり2度塗りしてあるのか抵抗値も十分低いです。 ただ流石に導電塗料で繋ぐには距離があって、ジャックのアース電位までで計測すると100Ωくらいあります。

弦アースを繋ぐ関係で配線をだすためのラグを打つので、いっそピックアップキャビティにもアース線を引きましょう。 そうすれば30Ωくらいまで抵抗値も下がってさらにシールド効果が上がると思います(そこまでしなくてもじゅうぶんローノイズになっていますが)。

ネック側ピックアップ部

配線を見ていてもリアピックアップのところだけいじられているように見えますね。

元の配線

ノブの向きが気になるのですが、フルの時に弦と平行になるようにしてしまってもいいのでしょうか。 聞いてみましょう。

ノブの向き

ブッシュがわずかに浮いています。 ここも直しましょう。

ブッシュ浮き

ジャックも錆びてきているので交換してしまいましょう。 ホットのハンダ付け端子を熱収縮チューブで絶縁するこのまとめ方、断線もしにくそうですし、とてもスマートですね。 これはマネさせて頂きましょう。

ジャック