配線を始めるにあたって元から付いていたミュージックマン・タイプのピックアップのチェックをしていて困ったことに気がつきました。
片側のコイルが断線しています。テスターで計測しても反応しません。 お預かりするときに「トーンがボリュームのように効く」という話があったので嫌な予感がしていたのですが。
分解前に鳴らしたとき、かなりスッキリとした音だったので並列配線なのかと思っていたのですが、実際には直列で配線されていて片側がオープンという状態でした。
向かって左側のコイルが切れています。
回路図っぽく描くとこんな感じ。
コイルが断線すると直流的には絶縁になりますが、交流的には線間容量でつながっていますので高域だけが漏れてきます。 高音しか出力されていないので、トーンを絞ると音がほとんど出なくなるという現象が起こります。
ピックアップをアンプに直結できるケーブルで改めて試してみましょう。
これは過去珍しいぐらいに音漏れがする断線ですね。オーナーさまも全く気がつかずに気に入って使っていたそうで、私も弾いただけでは判断がつかないくらい大きい音がでます。ポールピースを鉄製の工具でたたいても同じくらいの音量でしっかりカンカンと鳴ります。
アイレットの部分で絶縁が起こることもあるので一応ハンダで加熱をし直してみました。 ヤニの性質上ハンダの粘度が低いアルミットを使って浸透させてみます。
やっぱり直りませんでしたね。 そもそも大きな音で漏れるということは、コイルの中程で切れている証明でもあるのでこれはしかたがないですね。
オーナーさまに御相談したところ、とりあえず今回は新品に交換しつつも、このピックアップはエフェクト的なサウンドバリエーションとしてむしろ貴重な個体なので大切に保存しようということになりました。
確かに、こんなにも上手くコイルの中央部で断線することはまれですね。 これはユーザー目線の新しい考え方ですね。 とても参考になります。