フレットのすり合わせ【JMの指板修理-4】

ハイポジションを中心にフレットをすり合わせします。 全体的にフレットがもう残っていないので、ローポジションは不完全な形になりました。

フレットのすり合わせ

フレットを仕上げます。 15フレットのピークがなくなったので、演奏可能になりました。

フレットを仕上げる

さて、ここからは楽器についての考察です。

ジャズマスターはギブソンに似た構造のブリッジが付いたギターです。 レスポールなどはボディとネックのジョイント部分には角度がついています。 フェンダーのボディ加工にはそれがありません。

ボディトップに平行にポケットが掘られているようです。 で、ブリッジとの整合性を取るために、このような厚めのシムが入っていることが多いです。

このシムはネジが通る穴があいていないタイプなので、ネジを締め込む力がネックエンドを押し上げる力になりやすいのです。 もちろん弦の張力もそこに加わります。

JMにありがちなシム

ネックエンドはこれくらい浮いているのですが、この力が指板のエンドを押し上げています。

ネックエンドの持ち上がり具合

強烈にハイポジション起きしたのでしょう、誰かがフレットを抜いて指板を思い切り削った形跡があります。 フレットの周りにはアロンアルファが光っています。

指板の表面には斜めに紙やすりのあとが見えます。 指板はエンド部だけ薄くなっています。

指板が削られている

トラスロッドナットがめり込んでいるギターなのですが、めり込んだ木部が指板を押し上げるとき、指板が薄いので割れたようです。 中央付近に割れを埋めた形跡があります。

今回の指板はがれは、基本的には指板が縮んだことによるのだと思いますが、こういった経緯も関与しているようです。

今後どうしていくかはオーナーさんとの御相談です。