チェック【スティングレイの修理-1】

古いスティングレイをお預かりしました。

スティングレイ

ネックは中心部は真っ直ぐですが、ハイポジションとローポジションが順反っています。

ネック部分

ロッドナットがめり込んで押し上げたためネックの指板面(1ピースネックですが)が割れています。 ここも補修したいですね。

ナット部分

ペグブッシュもペグも浮いています。 ここはどちらかだけ直しても再発しそうなので、取り付けをやり直しましょう。

ペグ部分

ネック裏の塗装がごわごわになっています。 取り除いてオイルフィニッシュにすれば、剥がれたところと、さわり心地も見た目もそろいそうです。

ネック裏

ヘッド裏が割れています。 クランプで締め込めば閉じると思うので、タイトボンドで貼り合わせられると思います。

ヘッド裏

初期のスティングレイはモノラルジャックを使っているので、シールドを抜いても電池の消耗は止まりません。 ステレオに交換しましょう。

また、出力保護抵抗が付いていないので、シールドのコンデンサ成分で容量性負荷発振しがちです。 場合によっては470~1kΩくらいの抵抗をシリーズに入れましょう。

配線部分

もう少し様子を観察して方針を決めようと思います。


Bonheurプリアンプ登載のSonicのJBの修理

ラムトリック社製作のSonicというブランドのJBタイプです。 私がまだラムトリックカンパニーで働いていた頃に設計したBonheur(ボヌール)というプリアンプが登載されています。

ボヌールはBirdcageオリジナルプリアンプBCPシリーズの元になっています。 文化放送の電波が強い川口で製作したボヌールは外来ノイズにめっぽう強い一方で、自分で発する半導体ノイズがやや多めな定数になっています。 それくらいしないとベースアンプから文化放送の音声がでてしまったからです。

東京都北区に引っ越してきてから作ったBCPシリーズは「川口の環境が異常なだけで、なにもこんなにラジオ電波に強い構造である必要はないのでは?」と思い直したので、定数を見直して「サー」という半導体ノイズをなるべく減らしました。 その結果、部品の配置を変更することになって基板は全く新しいものになりました。

Bonheur登載のSonic

このベースは、ライブ前に電池を交換したらプリアンプを通した音が出なくなったということでした。 結局はバッテリーボックスから出ている線が断線しただけだったのでBB-04の交換ですぐ直りました。

バッテリーボックスBB-04の配線

ただ今回、他にも想定された故障原因がありまして、それがBCPの製作技法に新しいアイデアをもたらしてくれました。

お問い合わせ頂いたときにお客さまが「電池を一瞬、プラスマイナス逆に入れたからかもしれない」とおっしゃったのです。

電池を逆に入れた場合、内部の回路を守るために保護ダイオードに電池からの電流がバイパスされるようになっています。 そこで考えられたのは

1 その一瞬で電池が空になるほどの電流がバイパスされた。

2 保護ダイオードが電池からの電流に耐えられずショート方向に壊れてしまった。

の2パターンでした。

問題は2の場合です。 以前修理した楽器に登載されていたアギュラーのプリアンプにも同様に、保護部品が原因と思われる故障があったのですが、内蔵プリアンプはモールドされているため、結局その保護部品の交換修理ができないことになってしまいました(OBP-2が壊れたベースのブログ記事。記事の中ではデカップリングコンデンサにショートモードで壊れがちなタンタルを使ったのではないかと予想していますが、電池を逆につないで保護ダイオードがショートモードで破損した可能性もあることに後あと気が付きました。)。

BCPも同様に、保護ダイオードが壊れている場合は部品の交換が必要ですが、今までの組み立て方法では、この部品の交換が難しいのです。 これから作るBCPは保護部品を外に出して修理できるように改良しようと思います。

保護ダイオードを外に出して組む

この黒い部品が保護用に入れてあるダイオードです。 こうしておけば交換が可能ですね。 これで塗装も完成させて、良さそうなら仕様を変更しましょう。


ハンダ付けのヘルパー

今日フェイスブックで同業他社さんと、ハンダ付けのためのヘルパーの話題になりました。

この端材とウッドピンチで作ったヘルパーが、とても参考になると褒めてもらいました。

ハンダ付けのヘルパー

何気なく作ったものなのですが、ジャック、プラグ、ポットの軸など、ギターに関係ある部品が固定できて、とても便利です。

配線の長さも測れますし、被膜をむいた線の予備ハンダもしやすく、基板のハンダ付けもこの上でできます。

端材はホームセンターでほとんど無料ですし、ウッドピンチは100均で売っています。 10ミリの棒を取り付けてハンダのリールを固定しています。 市販のヘルパーより楽器修理用途には向いています。


チェック【GUITAR VIOLENCEのフレットレスの配線改造-1】

ギターバイオレンスのスティングレイ型をしたフレットレスベースをお預かりしました。

ギターバイオレンスのフレットレス

指板に打コンがあって音がつまります。 ここは修正しましょう。

指板に打コンがある

ネックジョイントがきつくてネックを抜くのに苦労しました。 ボディ側のジョイントビスの穴は、ネジを素通しするのが正しいのですが、ネジが効いてしまっています。 この穴は少し拡げましょう。

いろいろきつい

ブリッジのネジ穴もきつくてコキコキいいます。 木が膨らんでいるのでしょうか?

ブリッジのネジもキツイ

導電塗料の抵抗値が一桁大きいです。 写真の場所では10ミリ間隔で279Ωになっています。

導電塗料の抵抗値を測る

導電塗料を塗りました。 重ね塗りなので一回で良いでしょう。

導電塗料を塗り直す

今回はピックアップの交換以外にプリアンプの登載もします。

BCP-2Mの製作

バードケージオリジナルプリアンプBCP-2Mを取り付けます。 完全ハンドメイドのイコライザーです。