ナットに弦溝を切っていきます。 1弦と6弦の幅を探っていたら結構普通のギターと同じですね。
ゼロフレットのある楽器なので先に弦の間隔だけを決めてみました。
ここからゼロフレットを打ってみましょう。
こんな感じになりました。
指板のRが7~9インチくらいなのにブリッジが12インチくらいで全く合っていません。
両サイドの弦高が高くなるので弾きにくいですね。 なんとかならないものでしょうか。 ムスタングとかのサドルは付かないのでしょうか?
F#が共鳴してビリついているのので、共鳴しすぎているのを抑えるポイントがありそうです。 楽器を鳴らしながら触れていきます。
ブリッジが上下動して弦がフレットにたたきつけられているようで、ビリついている時はXブレーシング沿いが激しく振動しているのが触って分かりました。
で、あちらこちらを触っていくと、ブリッジよりエンド側、少し6弦側よりのあたりに触るとビリ付きが抑えられるポイントを発見しました。 そこに振動を和らげそうなものをはり付けてみました。
上手く効いているようです。 この裏側あたりはブレーシングもなく平面になっているので、この裏側に何かクッション性のあるものを通じておもりをはり付けてみようと思います。
(→その後、貼り付ける位置をメンテナンスしやすいサウンドホール近くに変更しました)
ネックを付けて弦を張ってみました。 結構逆反っていて何度かトラスロッドを緩めました。
このあたりにすこし逆反りの山がありますね。 14フレットより先ならほとんど問題ないのですが、このあたりの山は少し悪さしがちですね。
それはそうとこのブリッジ、普段は便利なのですが、ネックを外す度に弦が外れるのでマスキングテープでボールエンドを閉じ込めました。
ビリつくところをカポタストで固定。 確かに山があるのですが、それだけではなくて、今預かっているアコギと同じようにこのあたりの周波数にボディが共鳴することも関係ありそうです。
ここをつかむとビリ付き方が変わります。
コインとか貼ってみたけれど効果はなかったです。
弦高かなり高めが好みのお客さまのベースで、今はまだいつもより低めなので、ネックをもう少し順反らせて完成にすればいいのですが、せっかく共鳴の謎が分かりそうな教材ですので、もう少し探ってから仕上げます。
この研究を進めていけば将来、ギターを鳴らしながらあちこち触ってフムフムとかいいながら、おもりみたいなものを貼るだけで楽器の鳴り方をコントロールする謎のおじいちゃんになれるかもしれません(笑)
キッチリした作業ができることを追い求めてきましたが、そういう楽器の鳴らし方を感じられることも大事ですものね。
ネックの状態を確かめるために弦を1度張っただけで、またブッシュが浮いてしまいました。
もともと、クルーソンが付いていたわけではないヘッドなので、きっと何か問題があるのだと思います。
ペグ穴がどうなっているのか分からないので、ブッシュを抜き直します。
どうやらテーパーリーマーで穴を拡げてしまったようです。 7角形にしかもヘッド面に向かって穴が広がってしまっています。 これがブッシュが弦の張力がかかる方向に浮いてくる原因です。 誰がやったのかは分かりませんがこの穴は垂直にあけましょう。
水で濡らしたメイプルの薄い板をハンダごての熱で曲げていきます。
薄板を弦の張力がかかる方にはり付けました。
ブッシュを入れ直します。
今度こそきっちり取りつけができたと思います。
次はやっとナットです。 こういうやり直しが発生するのは修理の仕方がないところですね。 根気よく1本の楽器につきあうことが大事です。