ジョイントのネジ穴修理【センターズレしたストラトの修正-1】

ワーモスネックが付いたストラトです。

センターズレしたストラトタイプのギター

センターズレしていて1弦側がぎりぎりフレットに乗っているような状態です。 原因を探していきましょう、

センターズレしている

ナット溝はまあまあ左右均等に切れているので問題なさそうです。

ナットの弦溝

ピックガードの外周が均等でない気がします。 赤いまるのところ↓が狭くなっています。

ピックガードの外周

ピックアップと弦の関係を見ていきましょう。 フロントピックアップは弦より左へずれていますが、リアピックアップが右へずれていますね。 リアピックアップについては、ピックガードが右へ振っていることやブリッジの取り付け位置が左に振っていることが考えられます。

ピックアップの位置について

ピックガードのコの字の凹みに対してトレモロが左側ピッタリに付いています。 これもピックガードが右にずれているせいでしょうか。 トレモロの位置はボディに対してどうなっているのでしょうか。

トレモロとピックガードの位置関係

弦を外したら、弦に曲がったあとがたくさん付いていました。 1弦がミャーミャーいっていたのは弦のせいかもしれませんね。

弦がへろへろだ

ネックを外そうと思って気が付いてことがこちら。 ジョイント用のネジがボディにしっかりと効いてしまっています。 このネジはボディに効く必要はなくて、ネックを引きよせるためのネジです。 ボディ側のねじ穴は素通りするのが正しいです。

ジョイントビスがボディに効いてしまっている

ネジ穴が全て広がってしまっています。

ネジ穴がダメになっている

全てに爪楊枝が入っています。

爪楊枝が見える

これはボディ側にネジが効いているせいで、ネック側のネジ穴にできているネジ溝を感じ取ることが難しくなってしまっていて、トラスロッド調整でネックを外して戻すたびに新しいネジ溝を作ってしまい、ネジ穴がダメになるという現象です。

ネジ溝が何重にも切られている

ピックガードを外してキャビティを覗いてみました。 コンパウンドとホコリがたくさん入り込んでいます。 これらがポットに入り込んでガリノイズの原因になっています。

ピックガードを外してみる

ジョイントポケットやピックアップキャビティなどから、このボディが主張しているセンターを確認します。

ボディのセンターの確認

トレモロの取り付け位置はもしかしたらほんの少し今の位置からズレているかも知れませんが、トレモロの取り付け修正を行うような状況ではなさそうです。

ボディのセンターの確認

むしろこのトレモロは、取り付け位置を弦と垂直方向にスライドできる仕組みになっています。 ボディのセンターを参考に正しい位置に付けることができそうです。

トレモロのセンターは動かせるようだ

ネックポケットの両側を薄板で埋めて、ネックぴったりに削ってあげれば、ボディと同じセンターにネックが上手く収まると思います。

ピックガードがズレていることは大きな問題にはならないと思うので、気になるなら取り付けし直しても良いですし、ご予算によってはそのままでも良いと思います。

ここを薄板で埋めるしかない

広がって閉まったネジ穴を補修します。 6Φのプラグを埋め込めるように少し拡げます。

穴を拡げる

プラグカッターでプラグを切り出します。

6Φのプラグを作る

タイトボンドで埋めていきます。

ネジ穴を埋めた

このギターで起こっていることを整理すると、ネックポケットがゆるゆるのまジョイントのネジ穴をネックにあけた時点ですでに、ネジに引っ張られる形でネックがどちらかに振っていた可能性もありますし、爪楊枝を差し込んだことでさらにネックがどちらかに移動した可能性が高いです。

今回はまずポケットを作りなおして、正しい位置に来ているネックに正しいネジ穴をあけることで修正を試みます。 ボディ側のジョイントねじ穴は今使われているネジを素通しできる程度に拡張します。