部品の取り付け【初期型スティングレイ回路のアウトボード化-2】

基板に部品を取りつけていきましょう。 今回は2.2MegΩの抵抗もカーボン抵抗で入手できましたので、すべて材質がオリジナルと同じ部品で構成できました。

とは言え、その部分の抵抗は乾電池の9Vから半分の4.5Vを作るための抵抗で、交流的にはタンタルコンデンサでショートされているので音質には関係なさそうではありますね。

部品の取り付け

この基板に、出力保護抵抗を追加することにします。 出力保護抵抗はタンタルコンデンサが電界コンデンサに仕様変更になった頃に追加された経緯があります。

フルボリュームで鳴らすと、オペアンプの出力がシールドケーブルに直結するので、シールドのコンデンサ成分(キャパシタンス)によって容量性負荷発振しないようにしたり、ケーブルの先がショートした時にオペアンプが壊れないようにするためのものです。

出力保護抵抗

この米粒のような部品が抵抗器です。 見た目にも初期個体に似たものを作っているので、この抵抗は基板の裏側にひっそりと表面実装します。

今気がついたのですが、お箸の文化がない地域のエンジニアさんは、テスターをこういうふうに使えないのでしょうか?

 


プリアンプのレプリカを製作【初期型スティングレイ回路のアウトボード化-1】

初期のスティングレイには2バンドのイコライザーが登載されていました。 その頃のプリアンプのレプリカを基板からフルスクラッチして、アウトボード化したものを製作していきます。

初期型スティングレイのプリアンプを作る

基板の形状、タンタルコンデンサやセラミックコンデンサなど、できるだけ素材も似せて作ります。カーボンで入手困難な抵抗値の高い抵抗だけ金属被膜になります。 ICも当時使われていたものと同じ型番のものを使用します。

基板を板から切り出す

まずは基板をカットしていきましょう。

基板を板から切り出す

続いて穴あけです。

基板の穴あけ

その穴と穴をレジストペンでつないでパターンを描いていきます。

パターンを描く

エッチング作業です。 この時、ペンで描いたパターンだけが溶けずに残る仕組みです。

エッチング

できあがった基板はこんな感じ。 あとでさびてこないように、フラックスでコーティングします。

できあがった基板

次は部品をハンダ付けしていきます。 ケースとツマミとポットがないので秋葉原へ仕入れにいきましょう。

 


ハンドワイヤリングのピックアップ

テレキャスターのピックアップが3セット巻き上がりました。 これはワックスに漬ける前に撮った写真ですね。 このあとハウリング防止のためにビーズワックスに漬け込んで気泡を抜きます。

ハンドメイドのピックアップ

できあがったピックアップのチェックです。 巻き方向、磁極で位相が変わってくるので、ポールピースに鉄製のものを近づけたり離したりすることで、抵抗値に起こる変化を見ています。

ピックアップの位相チェック

こういうときにはアナログテスターが便利です。 小数点以下の精密な計測や、極性が不明なものを測る時はデジタルの方が便利です。 なのでテスターはいくつも持っている必要があるのです。

現場のローディさんはデジタルしか工具箱に入れていないような気がするので、こういうところのチェックは工房で仕事をしている人の役割なのかなと思います。 BUMP OF CHICKENのツアーに連れていってもらえたのが糧になっていると思います。

どんなふうに針が動くかはこちらのインスタグラムにGifアニメ風動画を掲載してあります。


テレのピックアップ製作

頼まれものでテレキャスターのピックアップを3セット作ります。

手作業で面取りしたポールピースとアイレットを打ったボビンです。

ボビンを組み立てる

ポールピースを圧入します。

ポールピースを入れる

組み上げたボビンです。 内側から低粘度の接着剤をさして固定します。 コイルを巻く時に変形しないようにそうしています。

この段階でポールピースに絶縁テープを巻くこともあります。 特に両サイドのポールピースとショートしがちなのです。

普通にフェンダー配線する場合は巻き始めをアースにつなぐので特に問題ないことが多いですが、直列に切り替えるスイッチを付ける場合はこれが問題になることがあります。

ノイズ処理のためにポールピースをアースにつなぐ改造をすると、どちらかのピックアップから音が出なくなったりすることがあるのですね。

組み上がったボビン

今回はビンテージスタイルなので直巻きです。

テレキャスターはフロントとリアでコイル線の太さが微妙に違うので2種類のワイヤーを使って巻いていきます。