動作状況の再検討【MU-TRONⅢの修理-7】

シミュレータに入力した回路図が間違えていたので、正しく書き直してもう一度検討します。

動作状況を再検討

その結果分かってきたことがあります。 ドライブが「UP」モードで「無入力」(楽器を弾かない)の時に、フォトカプラのLEDに約8ボルトの逆電圧がかかるのは仕様のようだということです。 通常、LEDの逆方向耐圧は5ボルトくらいが目安だと思うので、壊れがちな構造のように見えます。

このペンの先、1番端子のところですね。

ここの逆電圧はどうやら仕様らしい

下の図でいうところの赤いところで、これは何とかしたいですね。

理想ダイオードとLEDドライブ

フォトカプラとICを交換した現状の動作はというと、ダウンモードは正常にCDSの抵抗値が変わります。 アップモードの様子が変で、入力する楽器を少しでも弾くと抵抗値が下がりっぱなしになります。

上の図でいうところの6から信号が入って理想ダイオード回路で整流されているのですが、この5番(非反転入力端子)6番(反転入力端子)に少しでも触れるとLEDが点きっぱなしになってCDSの抵抗値が下がりっぱなしになるようです。 フィルターの周波数が上がりっぱなしということですね。

つまりこれは、エンベロープ信号を作るための理想ダイオード回路が発振しているのではないでしょうか。 発振時にどのくらいLEDに電圧がかかっているのか分からないので、UPモードでは無信号時も演奏時もLEDをいじめていることになりそうです。

6番7番にコンデンサを接触させると止まることがあるので、発振を止める検討をします。

発振止めの検討

デカップリングコンデンサの劣化、ICの高周波特性なども関係がありそうです。 エンベロープ信号を充放電する電解コンデンサとは330Ωで分離されていますが、容量性負荷発振も疑いましょう。

直りそうな気がしてきましたし、ミュートロンを壊れにくくすることもできそうな気がしてきました。


VOXのフレットを抜く

フレットを交換して良いということになったので、フレットを抜いていきます。 今回はヒーター修正はいらないとみています。

残念ながらナットは外す時に割れてしまいました。

フレットを抜きます

このギターにはスタッドがない古いタイプのフレットが打たれていました。 ペンチでつまんで軽く出っ張りが付けてありますが、基本的にはタングに出っ張りがないので抜けてきやすかったのかもしれませんね。

スタッドがない古いフレット

スタッドがない分フレットを抜いた後もフレット溝がキレイですね。 次に打つフレットとの兼ね合いで溝の修理が必要かどうか考えます。

ゼロフレットがあるギターなので、ゼロフレットにジャンボフレットを打つとして、それより低くなくてはいけなくなります。

できればビンテージフレットよりは広めのフレットが良いということなのですが、幅広で背が低めのフレットを多めに削って合わせることにしましょう。


ペグの移植【フェンダーバードのネック交換-3】

メイプル1ピースのネックに交換するにあたって、ペグを移植する必要があります。

ブッシュの径を測ってみたら16ミリくらいです。 通常のJBだと17.5ミリくらいはあるのですが、そこまで拡げるとちょっと拡げすぎですね。

ブッシュの径

16.2~16.5ミリくらいのドリルビットが欲しいですね。 店舗で探すのは面倒なのでお取り寄せしましょう。


ペグの交換【ESPのネックオーバーホール-8】

いろいろいじってみたのですが、やはりブリッジを交換してしまった方が具合が良いようなので、ブリッジ交換をすることになりました。 ついでにペグも新品に交換します。

交換するペグ

ギアの一部でメッキが剥がれてブラスの粉が出ています。

削れているところ

ブッシュにあたる部分も金属の粉でキラキラしています。 まだ使えるのですが、ついでにリフレッシュです。

削れているところ

取りつけが微妙にずれているようで、ヘッドに取りつけると手応えが渋くなる状態だったのも交換する理由のひとつです。 ですので、ネジの穴を一度埋めます。

ネジ穴を埋める

埋めた丸棒を平らにします。

埋めた木栓を平らにする

ブッシュを抜いて新しいものに交換します。 ブッシュの内側も傷が付いているので新しいものの方が滑ると思われますね。

ブッシュの交換

位置を決めていきます。 ペグポストの穴が真っ直ぐ並んでいるとも限らないので、真っ直ぐ並べつつも、ペグポストに変な力がかかっていないかどうかなども総合的に判断して、見た目にも使い心地にも違和感がないところを探します。

位置決め

各ペグのネジ穴のうちのひとつだけをあけて、仮どめした状態でさらに確認をしてから他のネジ穴の位置を出しました。 元のネジ穴と半個分もずれないところに新しい穴をあける場合、接着剤の層にそってドリルビットが流される心配があります。

ですので、先に0.8ミリのビットで細く穴をあけておいて、メインの木工用三ツ目ビットの先端を導くようにしました。 合計32回穴あけをすることになるので面倒なのですが、やりなおしが防げるので楽器にも作業者のメンタルにも優しいです(笑)

慎重に穴をあけていく

動きを確かめつつ取り付けました。

ペグが付いた

すごく調子が良いように思われます。