故障の原因が分かった【スペクターNS-2Jのプリアンプ修理-8】

オペアンプソケットも交換することにしたので外してみたのですが、全ての足が錆びています。

オペアンプソケットが錆びている

電池の液漏れが発生したときにこっちの方まで飛び散っていたようで、端子と端子を計測すると本来は絶縁されているべきところが数十~数百kΩでつながっています。 これによって異常な動作をしていたようです。

原因はこれですね。 直流的に見ても各端子の電位がバラバラになるでしょうし、交流的に見ても負帰還だけではなく正帰還もかかると思うので、過負荷や発振で意味不明なことになっていそうです。

ソケットの端子間が絶縁されていない

基板の穴の汚れまでドリルでさらって清掃しました。

基板の清掃

基板上での絶縁も確認しました。

基板の絶縁を確認する

オペアンプも錆びていたので、おそらくもう使わない方が良いでしょう。 新しいTL062 を買ってきました。 設計時期の古いICですが、定番の低消費電力オペアンプとして現在も生産され続けています。

新しいTL062

電解コンデンサも交換しておきます。 今のところ壊れてはいませんが比較的、寿命を気にした方が良い部品なので新品に換えてしまいましょう。

電解コンデンサを交換する

外してみて分かったのですが、これらの足も錆びていますね。 抵抗はブラシでゴシゴシ掃除しましたが、電解コンデンサは樹脂で封入してあるところから劣化していそうなので、交換して正解だったと思います。

外した電解コンデンサ

漏電していたバッテリーボックスは外して、新しいバッテリーボックスを取り付けました。

バッテリーボックスを取り付けた

清掃が済んだポット類を戻します。 基板が完成しました。

ポット類を戻した

音出しチェックです。 問題なく音が出ました。 ポットのノイズもありません。

音が出た

消費電流は0.35mAくらい。 これなら正常と思われる範囲です。

消費電流が減った

ジャックを抜いたら電池がしっかりオフされています。

電池のオフを確認する

これで基板を戻せば完成でしょう。 原因が分からなくて困りましたが、直ってくれて良かったです。


分解清掃【スペクターNS-2Jのプリアンプ修理-7】

電池から漏電する古いバッテリーボックスを取り除いて、液漏れしたときの影響で漏電ルートができていると思われるポットを清掃しました。 絶縁が確認されたのでこのポットは交換しなくても済むのではないでしょうか。

掃除したら絶縁が回復した

部品を外して清掃していきます。 一番怪しいのはこのポット。 うろ覚えですがBAX型のイコライザーは低音側のポットには反転入力端子に向かってシリーズにコンデンサを付けられなかったような気がします。 シミュレータでエラーが出たような・・・。 そこに汚れがたまっていたら動作がおかしくなるかも知れません。 トレブルとボリュームも分解清掃&接点復活材&ナノカーボンで処理します。

ポット内の清掃

テスターでのチェックだけでなく、ポットチェック機で音を出しながらの確認しましたが完全にノイズがない状態になっています。

ポットチェッくん

基板の表面のどこに電池の液が飛び散っていてもおかしくないので全てクリーニングしました。

基板の清掃

ほぼ全ての部品の抵抗値や容量などを計測しました。 特におかしいところが見つかりません。 外さないと測れないところは分解して計測しました。 スチロールコンデンサは熱に弱いので2個だけ抜き取り検査しましたが、むしろ今でも精度が良いことが分かりました(部品の配置がちょっとICから遠い気はしますが)。

ほぼ全ての部品をチェックした

分解でダメージが出ていそうな抵抗などを一部交換しました。 同じカーボン抵抗を選んであります。

一部の部品を交換する

これで組み直しても動作がおかしかったらもう分からないですね。 納期の余裕もないので消耗品とされる電解コンデンサや、電池の液がかかっていそうなオペアンプソケットはあらかじめ交換してから組み直します。

一度秋葉原に部品を買い足しにいってきます。


良いお天気でした

お客さんに修理が終わったギターを返したあと、十条駅前で長話をしていたら暑かったですね。

良いお天気でした

「ライブ撮影におけるライブハウス照明あるある」「消費税は上げるにしても下げるにしても事業粗利税にネーミング変更してはどうか案」「ゴジラは水素爆弾怪獣で芹沢は酸素爆弾博士で、水素と酸素は(東京湾の)水になる運命という化学反応式プロット仮説」「身の回りにメンタル疾患未経験の人の方が少ない説」「ウルトラセブン神回メトロン星人」など話題が尽きませんでした。


リアルセルロイドピックガードの角を尖らせる加工

リアルセルロイドピックガードをお預かりしました。 エッジを尖らせる加工をします。 元がこんな感じで・・・

リアルセルロイドピックガード

手加工で削ったあとサンドペーパーで仕上げたところがこちら。 かなり雰囲気が変わりますね。

エッジを尖らせた

エッジには最初レリック加工が施されていて茶色っぽかったので、汚し直しましょう。

エッジに着色する

こんな感じになりました。

完成

絶対に格好いいストラトになりますね。


電源が漏れている箇所を見つけた【スペクターNS-2Jのプリアンプ修理-6】

他のピックアップからの信号はどうか試したくてこんな実験をしました。

音出し

そこで変なことに気が付きました。 ジャックを抜いてもわずかに電池を消費しているのです。 あまりにわずかなので、これがメインの故障原因ではありませんが、別の故障を見つけてしまったようです。

ジャックを抜いても電流が流れている

電池が液漏れしたときのサビか液が飛び散っているのですが、基板パターンをブリッジしている可能性がある箇所を掃除しました。 かなり絶縁に近い値になったのですが、完全には止まりません。 他にも経路があるようです。

ブリッジの可能性

古いバッテリーボックスがまだつながったままになっていますが、この線からとなりのバランサーポットにつながっています。

ここから漏れているようだ

電池から漏れた液体なのか錆なのか分かりませんが、バッテリーボックスからバランサーポットを通じて10MΩくらいでアースにつながっていて完全に絶縁されていないのです。

バッテリーボックスと接触している?

ケースがわずかにアースにつながっているようです。

ポットに染みこんでいる?

ポットにも電池の液が染みこんでいるのかも知れません。 そうだとすると回路図で言うとこのあたりでしょうか。

この辺り?

こんな形状の25kACカーブのバランサーポットは簡単に入手できないでしょう。 バッテリーボックスを外したら電池の方の問題は解決すると思います。 今のところはこのままでも大丈夫かもしれませんが、将来的にバランサーポットが故障したら嫌ですね。 この部分の漏電は電池の液漏れの結果なのか、それとも電池が液漏れした原因なのか・・・。

まだ故障の主な原因がハッキリ見えてきません。 バッテリーボックスを外してバランサーを掃除したら、次はベースツマミのポットの分解洗浄をしてみましょう。