チェック【2016年製レスポールの修理-1】

レスポールをお預かりしました。 ネックの反りが1弦側と6弦側で違うようです。

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ナットは4弦と5弦が低すぎでジリジリいいます。

4弦のナット溝が低い

ボリュームの接触不良もあるということなので、キャビティの中を開けてみました。 ポットは4つともファサファサと軽いガリノイズが出ます。

中古で入手されたそうなのですが、改造されていますね。 コンデンサがオレンジドロップに交換されています。 トーンポットの背中にハンダの跡があるので過去に他にも別のコンデンサが付いていたか、アース線を外したかのどちらかですね。

フロントは4芯のピックアップに変わっています。

配線部分

スイッチから出ている線ですが、普通は単芯のシールド線(網線とか呼ばれるもの)を使うのですが、シールドではない線に交換されています。 ベルデンとかでしょうか?

シールド線が使われていない

フロントのボリュームに接触不良があるということでしたが、実際に触ってみるとリアの方が怪しいです。 ポットの背中を叩くと時々コンコンとマイクロフォニックが発生したり、黒い収縮チューブの辺りをグリグリ押すとたまに「ブー」が出ます。

収縮チューブを外してみないと分かりませんが、原因が分からないままチューブを被せてみたのではないかと思います。 例えばホットの線が一部断線して毛羽立った先が、筒状の布でできた絶縁層を付き破ってシールド部分と接触しかかっているとかそういう特殊なことが原因ではないかと思われます。

ここを剥がしてみないと分かりませんが、場合よってはリアのピックアップを分解して配線を交換することになるかもしれません。 ポットの3番端子がコンデンサ交換時にハンダごての熱で焼けている可能性もあるので、ここは原因が分かるまでもう少し様子を見て判断しましょう。

熱収縮チューブのあたりがおかしい

あと、ジャックもぶつけていますね。 ジャックプレートが落ち込むように曲がっています。

ジャックをぶつけているジャックをぶつけている

ネックは弦を外してトラスロッドを緩めた完全フリーの状態で結構順反っていますが、トラスロッドを「もうこれ以上はあまり締め込みたくないな」というところでなんとか真っ直ぐに近くなるので迷います。

5フレット付近にロッドが効いていますが、7フレット辺りに効いて欲しいような順反り具合で・・・ヒーターした方が良いような気もしますね。


ハイ起き(ハイポジションの順反り)を直す【ピンクのレリックJBの配線改造-5】

ハイポジションが順反っているのも直しておいて欲しいというリクエストを頂きましたので、こちらの修理も進めましょう。

ハイ起き修正をすることになった

ハイポジションをヒーター修正します。 フレット溝を狭めにしてからフレットを打つことで、フレットのタングが指板を押し広げるような形にします。

フレットを先に抜いた

こうすることでネックを指板側から支える力を蓄えておくことができます。

ヒーター修正だけだとまた同じところが反ってくることが多いですが、このバードケージ式ハイ起き修正法ですと再発しないか、あるいは再発しても軽微ですむことが多いです。