コンディションを確認しながら分解します【アメスタJBの改造-1】

フェンダーUSAのジャズベースをお預かりしました。 ピックアップをBirdcageオリジナルのハイブリッド・ピックアップに交換します。

USA ジャズベース全景

ブリッジは裏通しと表通しを選べる仕様になっています。サドルも弦ピッチを選べます。今は20ミリくらいで少し広めになっていますね。 JBは1弦と4弦がポールピース真ん中を通らないのですが、弦ピッチを広めにしたことでそこが合っているように見えますね。

ブリッジ部

ナットは牛骨風の人工素材になっています。 今回これをついでにオイル漬けのナットに交換します。

ナット部

ピックアップのポールピースがカバーから飛び出していることが気になるということでしたが、そこはピックアップ交換でお好みのスタイルになりそうです。

ナット部

弦高を思うように下げられないということなのですが、原因はハイポジションの順反りです。 ヒーター修正で対応しますが、あとあとまた起きてくるのを防止する目的で、ハイフレットを一度抜いてフレット溝の幅調整を行います。 これは最近考案した工法でなかなか手応えがあるのでお勧めしています。 近いうちにサイトの修理メニューにも加わるかもしれません。

ハイポジション

ジョイントビスが通る穴が狭いです。 ネックにしっかり力が加わらないだけでなく、ネック側のねじ穴を壊す原因にもなりますので広げます。

ジョイントビス穴

ビスが4.2ミリだったので4.5ミリに広げて様子を見てみましょう。

穴を広げる

キャビティが現代風なことになっていますね。 配線は今回全体的にオーバーホールしてしまいます。

キャビティの中身

クッションは流用しますので、キレイに取っておきましょう。 粘着面にホコリが付かないようにマスキングテープで保護しました。

ピックアップのクッション

アースラグが打ってあって導電塗料が塗られている形跡があります。 シールを剥がしたところで計測してみましょう。

シールを剥がしたところ

10ミリ離れたところで820Ωもあってかなり抵抗値が高めです。 塗ってはあるけれどもとても薄く、効果が期待できません。 しかもブリッジ側ピックアップには塗られていないという仕様のようです。

抵抗値が高い

キャビティを掃除して全体的に2度塗りすることにしました。

キャビティの掃除

導電塗料は乾くと導通します。 しっかり乾かして抵抗値を再計測しましょう。

導電塗料の塗布

ではまた明日。

 

 


フレット浮きを修正中【フェンダージャパンストラトの改造-5】

まずは粗加工したナットを取り付けていきましょう。

ナット溝の加工

通常このギターのナット取り付け部の底は指板トップと同じRが付いているのですが、以前ナット交換をしたリペアマンさんによって平らに加工し直されています。

おそらくギタークラフト科の課題でナット交換をしたときにRを崩してしまっていて、リペアマンさんも苦肉の策でこうしたのでないでしょうか。 とは言え両サイドに少しだけR部が残ってしまっているので改めてきっちり平らにし直しましょう。

ひとつひとつクラフト科の同級生との作業風景を思い出しながら作業するので、このギターを修理しているとなんだかとっても懐かしい気持ちになります(笑)

もとのナット溝

大まかに加工した牛骨を取り付けました。 フレットが結構浮いていて、こちらの修正もしなくてはいけませんね。

粗加工したナットの取り付け

溝が緩くなってしまっているので端浮きや中央部の片側浮きが気になります。 浮いているまま固定されているならまだしも、押さえるたびにフカフカと上下するのはさすがにそのままにしておかないほうがいいですね。

フレット浮き

本気を出して直し始めると完全にリフレット作業になってしまいます。 圧入しながら接着剤を流し込むタイプの補修で済ませます。

圧入と固定

フレット溝をノコで深く切りすぎています。 隙間が空いていて触り心地が良くありません。 自分で作業するときには気をつければいい話なので埋めるためのローズパテなどは用意していません。今回はアクリレート系接着剤を流し込んで仕上げましょう。

今回のようにもとから溝が深い場合があるので色の良いパテも持っておいた方が良いかもしれませんね。

吹かすぎる溝を埋める

フレットのすり合わせをします。 浮いたまますり合わせられたフレットは、押し込み直すことで当然その分低くなっていますので合わせる必要が出てきます。

フレットのすり合わせ

フレットをピカピカに仕上げたところがこちらです。

弦を張っていない状態でハイポジションでほんの少しだけうっすら逆反っているという、なかなか期待の持てるネック・コンディションなのは、このギターの持ち主がクラフト科卒業後に野澤先生のところへ修業に通っていたときに面倒を見てもらったからなのかもしれませんね。 良いコンディションのギターに仕上がりそうです。

フレットの仕上げ

フレットが気になりすぎて今日はナットを加工するところまでいきませんでした。 また明日ですね。

 


’60sと’70sのサウンドをひとつに!ハイブリッドJBピックアップの製作

Birdcageでは60年代風と70年代風のJBサウンドの両方を出力できるハイブリッドなJBピックアップを製作しています。

このピックアップはコイルが2層に巻かれています。 内側のコイルは70年代を意識してフォームバー皮膜線を使用しています。 その外側に60年代風をイメージしてエナメル皮膜線のコイルを追加してあります。

60年代のファットなミドルと70年代の抜け感のある倍音を自在に使い分けることができます。 ’60sのブリッジで指弾き、’70sの両側フルでスラップといったような奏法との組み合わせも考えると、またさらなるサウンドの広がりがあります。

ハイブリッドJBピックアップ

出力を2種類取り出すために、出力線が3本になっています。

着磁と配線

キレイに取り回せるようにこういう感じでよってあります。

配線をまとめたところ

コイルは手送りの巻き取り機を使って、ひとつひとつ丁寧にランダムに巻いてあります。

ランダムに巻かれたコイル

サイトにあるハイブリッドJBピックアップの商品紹介ページはこちらのリンクをクリックしてご覧ください。

 


まずは導電塗料の塗布から【54レスポール・TRUE HISTORICのブリッジ交換-1】

ヒスコレのレスポールをお預かりしました。 とてもかっこいいギターですね。 このギターにモントルー製のバダススタイルブリッジを登載します。

54レスポール・TRUE HISTORIC全景

今回はチタンサドルが付いているものです。 KTSさんがこのブリッジにピッタリな寸法のチタンサドルを付けてくれてあります。

オリジナルのバダスにチタンを付けようとすると、専用のものがなく、いくつかの機種を取り寄せて、穴位置などが合うものを選んで、場合によってはネジ溝を作り直してあげたりする必要が出てくるので、チタンを載せたい場合はとてもモントルー製のレプリカがオススメです。ぜひKTSさんのサイトでチェックしてみて下さい。

チタンサドル付きバダス型ブリッジ

もとのバーブリッジに付いているスタッドはこんな高さ。 十分に弦高も下げられそうな予感がします。 バーブリッジとの厚みの差があるので、2~3ミリはスタッドのネジが見えていないとバダスタイプに換えたときに同じ弦高になりません。

スタッド部

ネックのコンディションはなかなか良さそうです。厳密に言うと5フレット付近に少し逆反りがありますので、ほんの少しだけ緩めても良いかもしれません。

ネック

このP-90はピックアップ自体の高さ調整機能がありません。その分をポールピースの上下で補ってあります。 CD900STをかぶって音量を調べましたがなかなか良いところを付いてあります。

P-90

コントロール部はこんな感じになっています。 なかなか風格のある配線で好感が持てますね。何よりキャビティの堀り方がオシャレです。 ノイズが気になるということで、これらを一度外して導電塗料を塗ることになりました。

コントロールキャビティ

スイッチキャビティのふたがオシャレです。

スイッチキャビティのパネル

スイッチ部はこんな感じです。ここも導電塗料を塗っていきましょう。

スイッチキャビティ

ルーティング時のバリが残っているので少し掃除してから塗ります。

キャビティ内の掃除

塗料を2回塗り終わったところです。

ピックアップキャビティ

一晩乾燥させましょう。 P-90自体のノイズがストラトのような面積の狭いコイルと比較してノイズが多いのですが、それ以外から混入してくる外来ノイズをかなりシャットアウトできると思います。

このP-90は同巻き同磁極なので、ネック側ブリッジ側の2個を同時に鳴らしてもノイズをハムキャンセルしません。 リスクは伴いますがもし分解改造すればハムキャンセルできるようになると思います。それについて以前書いた記事はこちらから→P-90のハムノイズキャンセルについて【レスポールスペシャルの改造-4】

導電塗料の塗布

塗料が乾くまでの間にいろいろなところのクリーニングを済ませてしまいましょう。 まずはフレットからです。

フレットのクリーニング

 

 

 

 


ピックガードアッセンブリの製作【フェンダージャパンストラトの改造-4】

まずはピックガードを製作していきましょう。 外周をテンプレートに合わせて加工した状態がこちら。

ブランク状態のピックガード

テンプレートに合わせてネジ穴も加工します。

ネジ穴の加工

皿ネジに合わせてネジ穴の周りを面取ります。

皿ネジ用に面取り加工

一度取り付けて外周を合わせたり、センターを確認したりしたいので、ここでトレモロを取り付けましょう。 6本のネジの調整は繊細です。 カタカタと動きを確かめながら1本ずつネジを入れていきます。

トレモロの調整

仮付けしてみたところです。 ここでネックやトレモロのセンターを取ります。 また、通常のストラトのピックアップが付いているいちばん外側のラインに合わせてハムバッカー2個の位置を決めていきます。

ガードの仮付け

位置が決まったハムの穴を開けていきます。 まずは大まかに糸のこ盤で加工しました。

ピックアップ穴の粗加工

トリマーを使ってテンプレート通りに穴を開けました。 テンプレートも今回製作したのでかなり手間がかかっています。 このあと、手作業で縁を研磨しました。 ヘトヘトです(笑)

トリマー上がりのピックガード

レバースイッチは使わずミニトグルスイッチで切り替わる回路です。 穴位置はもとのピックガードから写し取りました。 タップスイッチも付いていて、タップすると外側のコイル(ネジ側)が生きるように配線しましょう。

コントロール部の加工

部品を組み付けていきます。 ボリューム、ピックアップ切り替えスイッチ、トーンとなります。小さい方のスイッチでコイルタップを行います。

アルミシート貼り付けと部品取り付け

コイルタップ時に外側のコイルを生かすということがどういう配線になるのかを考えるためにテスターで内部構造を調べます。

コイルの内部構造の確認

スイッチ周りの配線を先に済ませました。 ハムバッカーからの線が来るとこのあたりは混雑して手が出せなくなるでしょう。

配線の開始

ハムバッカーの配線をうまく撚ってコンパクトに配線することに成功しました。

アッセンブリーの完成

かなり上手に収めることができたと思います。

スイッチ部詳細

もとの配線がこちらですので、ずいぶんキレイにできたと思います(とは言えギタークラフト科の生徒が生まれて初めて改造した配線と今の私の配線を比べてはかわいそうです)。

もとの配線

ピックガードを付けてみたところ。 なかなか格好良くなりましたね。 次はネック周りです。

ピックガードの登載