VOXのピックアップのマイクロフォニックがひどいのでワックスポッティングすることになりました。
マイクロフォニックというのは、ピックアップに振動が加わったときに、コイルが動いてしまうことでアンプから音が出てしまう状態を言います。 演奏中にボディに触れるとカンカン言いますし、ハウリングの原因にもなります。
フィードバックは弦を触ると止まりますが、マイクロフォニックによるハウリングはコイルが直接共振しているのでコイルと止めない限りコントロールできないのが特徴です。
で、溶かしたワックスにコイルをつけ込むことでコイルを固定します。 本気でワックスポッティングをするには真空ポンプで空気を引く方法がありますが、そこまでしてしまうと音も硬くなりがちです。 なので今回は浸け置くだけです。
ワックスを溶かします。 今回は樹脂製のカバーが接着されてしまっているために外せません。 樹脂が溶けないように、普段つかっているビーズワックスではなく、もっと融点が低いパラフィン系を使うことにしました。
漬け込んだ瞬間はピックアップの温度が低いので、ピックアップの周りにワックスが白く固まります。 かといって温度を上げすぎるのはカバーの変形を招きそうなので、絶妙に湯煎する温度を調整しました。
エレキギターは、電気系統と振動系統が合体したものなので、木工から電子工作技術まで幅広いことができなくては修理できません。 同じような作業をたくさんをするなら工場設備を整えることで誰でもできるのですが、こういう一回しかしないような作業では作業者の感性と技術と工夫で小回りをきかすことが必要になりますね。
結果的にはすごく上手くいきました。 ピックアップを直接アンプにつなぐことができるケーブルです。 叩いてもカンカン言いません。