経年変化で指板の表面に僅かな波打があります。 フレットの頂点で合わせても良いくらいですが、そもそもが低いフレットが打たれている仕様なので、この際フレットを交換して指板の表面をうっすら削って平らにします。
エボニーという木はかたいのですがもろく、スチームをあててフレットを抜いてもこれくらい逆立ってしまいます。
溝の状態はとても大切なので、丁寧に溝を補修してから指板の研磨に入ります。 フレットの入荷は少し先になりそうですね。
フレットが減って頂点が平らになってきたせいで、手にあたるのが気になるということでお預かりしました。 すり合わせでも対応できなくもないのですが、次に減ってきたときにまた同じことになるので、そういうご要望なら打ち替えることを選びました。
以前もお預かりしたことがある楽器で、その記事は旧ブログにあります。こちらからご覧頂けます。
夏祭りで雨に濡れたということなので電装系も一応チェックしておきます。見たところ雨による目立ったダメージはなさそうです。
以前も気になったのですが、ここのネジ穴がきつくてネックを付けるときにネック側のネジ溝が分かりません。 ネックにダメージが出ないように少し広げる加工をします。4.2ミリくらいのネジですから4.5まで広げます。
スチームで指板を緩めながらフレットを抜いたあと、低粘度の接着剤で浮いた指板を抑えます。
指板を研磨していきます。 1弦以外のハイポジションがほんの少し起き気味だったのですが、研磨で1弦に合わせることができました。 ヒーター修正は必要ありませんでした。
このままフレットを打っていけばコンディションの良いギターになりそうです。 フレットを手配しましょう。
フレット交換についての私の考え方はこのページにまとめてあります。ぜひご覧下さい。 プレイアビリティという頂上に向けて地道に土台から積み上げるような作業が必要になるのです。